今年はどうなるPM2.5の来襲

“アフターコロナ”に向けて前進する中、 急浮上するもう一つの“空気問題”とは

10月22日、気象局は今年の乾季入りを発表した。

長かった雨季が明け、ようやく一年で最も過ごしやすい季節に突入したわけだが、脳裏をよぎるのはやはり例年同様の「微小粒子状物質(PM2.5)」問題だ。

空はグレーに霞み、目や喉がズキズキと痛む。

これは2017年頃よりタイ国内で深刻化するPM2.5の影響によるもの。

19年の世界保健機関(WHO)の調査では、PM2.5を含む大気汚染の健康被害により世界で年間700万人が死亡。

タイでも5万人が命を落としいるというから、当然ながら看過はできない。

今年は新型コロナの流行により経済活動が制限され、空気や海洋汚染が一時的に好転する予期せぬ副産物もあったが、27日の時点で既にバンコク都内では大気汚染指数(AQI)が基準値を超過。

昨年のようなマスクの高額転売や買い占め騒動は起きないかもしれないが、公衆衛生上の対策が喫緊の課題であることには違いない。

これに先駆けバンコク都は16日、公害監視局や工場局、路線バスを運行するバンコク大量輸送公社など23の行政機関を招集し環境審議会を実施。

大型トラックの時間帯による走行規制、高濃度時の教育機関や建築現場の活動制限、政府開発の観測・予報アプリ「AirBkk」の提供など、各国と足並みを揃えた6つの対策を明らかにした。

中でも注目は、都内全50区に新設されたモニタリングステーションだ。

各ステーション内に設置した自動測定器が最新の速報値を観測局へ送信。

前述のアプリと連動し、1時間ごとに更新された情報を配信する。

また、近日中に同様の機器を都内20カ所の公園にも設置予定。

利用者に対し指数を通知し、安全に屋外活動ができるか否か判断を促す。

地方都市と比して、地理や気象条件よりも自動車や周辺工場からの排ガス、建設ラッシュによる粉じん・ばい煙といった人的要因が大きいと言われるバンコク都の大気汚染。

審議会終了後、「例年以上に周到な安全対策を講じている」とアッサウィン都知事は自信を覗かせたが、識者からはより抜本的な改革を求める声もあり……。

今後の成果に注目が寄せられる。

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