「相続税」「固定資産税」を導入!?

「相続税」「固定資産税」を導入!?

富裕層の反対は必至、経済格差是正を掲げるプラユット暫定首相の本気度

富裕層や投資家に激震が走っている。

タイの地元紙によると、財務省が相続税導入を柱とする税制改革案を、事実上のタイ最高権力機関「国家平和秩序維持評議会(NCPO)」に提出。NCPOは、これを了承したという。今後は、発足したばかりの暫定内閣とタイの国会機能を代行する立法議会へ送られる。

同案が、可決・施行されれば、相続税が廃止された1944年以来、実に70年ぶり以上の復活となる。改革案の中で最もインパクトの強い「相続税」は、遺産相続された側に、評価価値の5〜30%が課せられ、対象は、土地、建物、自動車、預金、株式など資産総額5000万バーツ以上。しかも、同省は脱税防止策として、「生前贈与税」も導入するという二段構え。遺産に対して課せられる税率や額は、相続税と一緒だが、それとは別に、資産価値の10%(資産4000万B以下の場合)、もしくは20%(同額以上の場合)の支払い義務が生じるという。

さらに、税収アップに意気揚々の同省は「固定資産税」も導入させたい意向。税率は、土地・建物評価額の0.1%(住宅)、0.5%(商業施設や工場など住宅以外)、0.05%(農地)で、更地は0.05%だが、3年間放置されると、そのつど税率は上がり、最大2%となる。同時に、低所得者に対しては、税金を免除し、逆に政府から給付金を受け取る「負の所得税」を用意する。財務省は、今回の税制改正で約1000億バーツの税収を見込む。

タイの相続税や固定資産税の導入は、経済格差是正の有効手段として長年議論されてきた。2009年には、当時のアピシット政権も試みたが失敗。「資産家の多い政治家が身を切る用な法案を本記で通すわけがない」(タイ人識者)

今回も、「既得権益を奪われる」と憤る富裕層からの猛反発は必至。同様の境遇(資産家)である軍政トップの中にも、導入に難色を示す者もいるだろう。ただ、NCPO議長兼暫定首相に選出されたプラユット氏の力を持ってすれば、決して難しくはないはず。今後の動向に注目したい。

【写真上】暫定首相に選出されたプラユットNCPO議長兼陸軍司令官

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