週刊ワイズで取り上げた【タイローカルニュース】注目をピックアップ。これさえ読めば、タイの“今”がわかる!? 今週は、タクシン元首相の旅券取消のニュースから。
タクシン元首相の旅券取消
王室侮辱罪で起訴も
タイ外務省は27日、タクシン元首相の旅券(パスポート)を取り消したことを明らかにした。外国メディアを通じての発言が、タイの社会秩序に悪影響を与えているというのが理由。同元首相は先に、韓国メディアのインタビューに答え、昨年の軍事クーデターの背後に王室に関係する人がいるなどと指摘していた。これを受けて、陸軍のチャッチャルーム・チャルームスック大将は28日、国王や王妃らの王族を侮辱したとしてタクシン元首相の刑事責任を問う考えを示した。
海外逃亡中のタクシン元首相は、民主党のアピシット政権時にパスポートの取消処分を受けており、今回が2回目。その後に発足したインラック前政権時代に再度、旅券の発給を受けていた。この時に外相を務めたスラポン・トーウィチャクチャイクン元副首相は「自分が再度、外相に就任した際は再びタクシン氏に旅券を発給する」などと発言している。(27日、28日=タイラット)
ロヒンギャ族難民
政府、上陸を原則認めず
プラユット暫定首相は25日、外務省と国防省に対し、イスラム少数民族ロヒンギャ族の難民をタイ航海上で発見した場合、人道的な見地から食料や医療を提供したうえで、希望する第3国に向け出国させるよう指示を出した。そのための医師や器具などを大型船に搭載し、不測の事態に備える。
難民がタイを通過して第3国を目指す場合は、タイが仲介者となってマレーシアやインドネシアなどの関係当局と連絡を取って対応する。原則としてタイ国内への上陸は認めないが、重病者については病院で治療に当たらせる。(25日=タイラット)
YouTube Thailandが人気
オフラインサービスも提供
Google Thailandが提供するタイ語による動画共有サービス「YouTube Thailand」の運営が、このほど1周年を迎えた。コンテンツ担当のクアターム・アナン氏によると、1年間で利用者は110%の増加だったという。タイ人の利用者に人気のあるコンテンツは、音楽、ドラマ、ゲームショーなど。スマートフォン、タブレットPCなど無線デバイスでの視聴が多いという。
グーグル・タイランドでは、あらかじめ視聴を希望する動画をプレイリストに登録しておけば、インターネットに接続しなくても動画を見ることができる新サービス「YouTube offline」の提供も開始した。(26日=ポスト・トゥデイ)
相続税法案、読会通過
課税最低額は1億B
国家立法議会の第3読会は22日、相続税制創設関連法案を145対5の大差で可決した。これにより、タイで初めてとなる本格的な相続税が導入されることとなった。2016年中の施行の見通し。
課税最低額は1億バーツ。税率は、両親または子が相続した場合は5%とし、それ以外は10%とする。課税対象は、所有者が法的に確認できる住宅や土地、自動車、有価証券、預金などで、海外資産も含め、それ以外は対象外。資産を隠した場合は禁固2年と罰金40万バーツが併科される。当初法案では課税最低額が5000万バーツ、税率も一律10%だったが、第2読会の途中で修正が施された。
ソムマーイ・ランシー財務相は「相続税の導入でタイの経済格差を減らすことができるだろう」とコメント。特別委員会のチャナ・ユーサターポーン空軍大将は「課税最低額を5000万バーツとすると影響を受ける人が多いことから1億バーツに引き上げとなった」と説明した。(23日=バンコクビズ)
タイ人はエンタメ好き
地元テレビ局が動向調査
テレビ番組の「トゥナイト・タイランド」は21日、タイ生命保険会社などの共同調査によるタイ人の消費動向を放送した。それによると、現代のタイ人の多くはエンターテイメントが好きで、素敵なインテリアを備えた高級感あふれるレストランで食事をし、高級なホテルに宿泊して、家族や友達と写真に撮ってソーシャルネットワークに投稿することを好む傾向にあるという。旅行の一番人気は日本旅行。健康にも気を使っていて、身体にいいものだけ食べるという。
特に1975年以降89年までに生まれた人に顕著だといい、好きなだけ消費することから貯蓄がほとんどないケースも。独身生活を楽しんでいる女性も多く、離婚率や同性愛の比率も以前より上昇した。高齢化も急速に加速していて、2035年には平均寿命が73~80歳に上昇するとの試算も紹介された。(25日=カプック)
子どものIQは基準以下
保健省が調査
ラッチャタ・ラッチャタナーウィン保健相は27日、昨年実施した小学1年生に対する知能指数(IQ)の調査結果を発表した。それによると、調査対象者4929人のIQの平均値は93・1で、基準指数より低いことがわかった。2011年に実施した前回調査よりも低い結果となる。都市部に居住する子どもは100・72と高かったが、地方に住む子どもの平均値は89・18と低く、乖離が一層広がった。
保健相は原因として、摂取する栄養素と生育の環境が影響していると指摘している。(27日=マティション)
飲酒運転など罰則を強化
道路交通法を改正へ
タイ国家警察庁は24日、現行の1979年道路交通法について、社会情勢の変化などから現状と合わない条文があるとして改正する方針を示した。飲酒運転やひき逃げなどの罰則を強化する。飲酒運転は現在、懲役1年以下とされているが、執行猶予がつくことが多く、実刑を受けることはほとんどなかった。しかし、今後は最低1ヵ月〜1年以下の実刑となる。ひき逃げ事件はこれまで3ヵ月以下の懲役、または2000~1万バーツの罰金だったのを、1~6ヵ月以下の懲役、または5000~2万バーツに引き上げる。死亡ひき逃げ事件の場合は、3ヵ月~1年以下の懲役、または1万~4万バーツの罰金とする。このほか自動車検査証の未貼付(無検査も含む)も1~5000バーツにそれぞれ引き上げられる。(25日=デイリーニュース)
水門のゴミは一日2百トン
都下水局長「洪水の原因」
バンコク都の排水・下水局のガンワーン・ディースワン局長は25日、都内にある約400ヵ所の貯水池やポンプ場で、一日あたり200トンのゴミが回収されていることを明らかにした。古い電気製品や家具などの粗大ゴミも多くみられ、同局長は「これらのゴミが水の流れをせき止め、大雨の際には洪水を引き起こす原因となっている」と指摘した。
また、同局長は屋台などからそのまま廃棄された食品の油などが下水に混入し、排水を妨げているとして、月に一度は定期的な処理をしていることも明らかにした。「屋台の経営者はそのまま排水しないよう協力してほしい」と呼びかけている。(26日=タイラット)
たばこ関連法を改正へ
罰則を厳格化
暫定政府は26日の閣議で、「たばこ製品管理法」と「非喫煙者健康保護法」を改正する。社会問題担当のヨンユット・ユッタウォン副首相によると、たばこを購入できる年齢を18歳から20歳に引き上げ、イベントコンパニオンなどを使って売ることは禁止するという。
罰則も強化する。未成年者に販売した者は、これまで1ヵ月以下の懲役、または2000バーツの罰金だったが、これを1年間以下の懲役または2万バーツの罰金とする。また、公共のエリアでたばこを吸った者は2000バーツの罰金だったのを5000バーツにそれぞれ引き上げる。
未成年者とたばこの関係を断ち切ることも目的の一つ。昨年実施した8歳~12歳まで3532人の小学生を対象とした調査で、友人がたばこを吸っているという回答は全体の22%。7・6%は喫煙の経験があるといい、40%が大人に頼まれてたばこを買いに行ったことがあるという。(20日=コムチャットルック、26日=タイラット)
政府薬事機構が格安で
バイアグラ効果の新薬
勃起不全(ED)不全治療薬バイアグラの模造商品が出回っていることから、タイ政府薬事機構(GPO)は独自にジェネリック(同一有効成分)商品の開発を進め、このほど販売を開始した。新薬は「シデグラ」といい、バイアグラと効果は同じだが、価格を大幅に抑えている。高血圧症や心臓病の患者が薬を併用すると、身体に危険があるため、医師の処方箋がないと購入は不可。
5月半ばに約40万錠を製造・出荷したところ、20分で売り切れとなった。このため、GPOでは7月に新たにオープンするランシットの新工場で新薬製造のラインを備える。(25日=コムチャットルック)
僧侶への課税に反対
出家制度に影響も
憲法草案などを審議するタイ国家改革評議会(NRC)が、一定の収入を得る僧侶に対する課税や住職の任期制度導入について検討を開始したことを受けて、タイの著名な僧侶から反対の声が上がっている。マハーサーラカーム県マハーチャイ寺院のプラ・テープシッターチャーン住職は、寺の水道代や電気代については自ら負担していると反対の意思を表したうえで、「この法律が施行されたら、出家する人が少なくなるだろう」と出家制度の根幹に関わるとの強い懸念を示した。(25日=マティション)
干ばつで農家の収入激減
失業率もわずかに上昇
国家経済社会開発委員会事務局のシュティナート・ウォンスバン副局長は25日、今年第一四半期(1月~3月)の労働雇用情勢について発表した。それによると、東北部などで発生した干ばつの影響で、農業従事者一人あたりの平均月収が5700バーツと落ち込み、非農業従事者の1万2500バーツの半額にも満たないことが明らかになった。
失業率もわずかながら上昇している。同じ時期の有職者の人口3760万人に対し、失業者は36万人余。失業率は0・94%で前年同期比の0・89%から上昇した。大学を卒業したばかりの新卒・第2新卒者の失業率も高く、人文学部、美術工芸品学部、ジャーナリズム・情報学部を昨年卒業した人の失業率が最も高かった。(25日=プラシャシャート)
エアアジア機内で爆弾騒ぎ
「スタッフに腹が立った」
22日午前8時40分ごろ、南部プーケット県のプーケット国際空港で、離陸の準備に入ろうとしていたタイ・エアアジアのバンコク―ドンムアン空港行き「FD3002便」の機内から「乗客が爆弾を所持している」との通報が管制センターにあった。同センターでは離陸を中止させ、乗客全員を降ろしたうえで爆発物処理班が出動。機内にあった荷物などを確認したが、爆弾は見つからなかった。同機は2時間余り遅れて出発し、無事バンコクに到着した。
爆弾を所持していると名乗り出た38歳のタイ人女性から事情を聞いたところ、荷物のチェックをめぐって空港のスタッフとトラブルとなり、「腹が立って嘘をついた」と供述。このため、同空港とエアアジアは、偽計業務妨害などの容疑で被害届を提出した。(22日=タイラット)