週刊ワイズで取り上げた【タイローカルニュース】注目をピックアップ。これさえ読めば、タイの“今”がわかる!? 今週は、バンコク都内の渋滞問題のニュースから。
渋滞解消に効果なし
都市鉄道全線開通も
バンコク首都圏交通・輸送局は10日、深刻化するバンコク都内の渋滞問題について触れ、2029年までに13ルートある都市鉄道計画が全て完成したとしても、通勤通学などに利用する人は全体の20%程度までにしか上昇せず、渋滞解消は難しいという見方を示した。
根拠について同副局長は、車が860万台に達し、増加する見通しである点を挙げた。現在、通勤や通学に個人所有の車を使用する人の割合は約37%。バスや船の約20%、BTSやMRTの5.8%と比べて突出して高い。鉄道建設による渋滞解消が期待されたが、効果が低いとされたことで計画の見直しに発展する可能性も出てきた。(10日=バンコクビズ)
暫定憲法を一部改正へ
国民投票実施のため
暫定政府と国家平和秩序維持評議会(NCPO)は9日、首相府で合同の会議を開き、新憲法制定に伴う国民投票の実施などをめぐる2014年暫定憲法改正案について協議した。終了後に会見したウィッサヌ・クルアンガーム副首相(法務担当)は、主に4点について合意がなされたことを明らかにした。
それによると、憲法起草委員会で取りまとめられた草案はタイ国家改革評議会(NRC)で審査。承認となった場合は国民投票を実施することを義務付ける。同選挙会は新憲法案を受け取った後に印刷物にするなどして全国民に周知させ、30日以上45日以内の日程で国民投票を実施しなければならないとした。(10日=タイラット、INNニュース)
暫定首相任期アンケート
新憲法制定までが最多
王立開発行政研究院(NIDA)は9日、プラユット暫定首相の進退及び任期について質問したアンケート結果を発表した。それによると、最多の30・08%の人が民政復帰に向けた当初のロードマップの通り、新憲法が制定され、新たな行政機構が設置されるまで首相の座にとどまって欲しいと考えていることがわかった。
アンケートは8日からの二日間の日程で行われた。18歳以上を対象に、1250人が回答を寄せた。新憲法制定までに次いで多かったのが、あと2年程度は継続してほしいという回答で27・28%。新憲法が成立したとしても、国の改革には時間が必要という判断からとみられる。三番目に多かったのは、2020年まで首相を務めるべきとする意見で18・16%だった。(10日=ポスト・トゥデイ)
タイ人の海外投資
10年弱で約8倍以上
9日付けのタイのニュースサイト「プラシャシャート」は、タイ投資委員会(BOI)に関する特集記事として、海外に投資するタイ人投資家の動向などについて報じた。BOIの担当者チョンラダー・アーリーラッチャクン氏へのインタビュー記事。
それによると、10年前の2005年の時点で総額21億5400万ドル(約689億バーツ)に過ぎなかったタイ人投資家による海外投資は、ピークだった12年には170億1700万ドル(約5445億バーツ)までに拡大。昨年第3四半期だけでも97億2200万ドル(約3111億バーツ)に達したことがわかった。総投資額の4分の1は東南アジア市場が対象で、最大の投資先はシンガポール。(9日=プラシャシャート)
タイ人学生5人が逮捕
パキスタン空港で銃所持
タイ外務省のセーク・ワンナメーティー広報官は11日、在パキスタンタイ国大使館からの連絡を受け、タイ人学生ら5人が8日、パキスタンのアッラーマ・イクバール国際空港で機内に銃を持ち込もうとして逮捕されたと発表した。5人は、2013年から同国に留学し、イスラム教を専攻。長期休みを利用してタイへ戻る途中だった。逮捕された学生の一人は「友人に見せるつもりだった。悪いこととは思わなかった」と供述しているという。
在パキスタンタイ国大使館は、学生らの出身が、テロが頻発するタイ南部出身ではないことから、パキスタン警察に対し、身柄の安全と引き渡しを交渉中とのこと。(12日=デイリーニュース)
豪州就労を誘い詐欺多発
仲介料名目で15万B被害も
国家警察中央捜査本部は8日、詐欺の疑いでタイ人のターニダー容疑者(40)を逮捕した。調べによると、ターニダー容疑者はオーストリアで働けば月給10万バーツ(約37万円)が受け取れるなどと嘘を言い、被害者のタイ人から仲介料として現金を騙し取った疑いが持たれている。
犯罪抑制局のアカラーデート・ピモンシー大佐によると、このところタイで同様の手口の事件が多発しているという。8日に被害届を提出したタイ人のケースでは、ブローカーに仲介料3万バーツを払い、指定されたセミナー会場に出かけたところ初めて騙されたことに気づいたという。同様の被害は少なくとも300件以上あるとみられ、一人あたり3万バーツから最高で15万バーツの現金を騙し取られていた。(9日=サヌック)
首相の任期延長求め署名簿
反タクシン派の僧侶が提出
パナッダー・ディッサクン首相府相は9日、反タクシン派の僧侶プラ・プッタイッサラ氏から、プラユット暫定首相の任期延長を求める5万人の署名簿を受け取ったことを明らかにした。僧侶らは「プラユット暫定首相の下で国内平和が実現できる。総選挙の前に、国を完全に改革してほしい」などと述べたという。(9日=ネオナー)
引き上げ分は空港会社負担
タクシーの特別加算金
スワンナプーム国際空港とドンムアン空港で公共タクシーを利用する際に上乗せされる特別加算金(サーチャージ)について、プラジン運輸相は近く省令を改正し、引き上げる方針を明らかにした。現行の一律50バーツから小型車については60バーツ、ワゴンタクシーについては80バーツをめどに調整を進めている。ただし、経過措置として実施半年間は利用者負担を50バーツに据え置き、残りをタイ空港株式会社(AOT)に負担させる案が有力。
空港タクシーをめぐっては、タクシー事業者が十分な収入を得られていないことなどから客に法外な料金を請求するなどのトラブルが相次ぎ、見直しが進められていた。
また、同運輸相は、昨年12月に8%引き上げた一般のタクシー運賃を、6月末をめどに再び5%引き上げることも明らかにした。接客サービスの向上が確認されたことが理由。タクシー運賃は長らく低料金に据え置かれてきたが、それがかえってサービスの低下を招いていると指摘されていた。(9日、10日=デイリーニュース、タイラット)
違法販売は見つからず
宝くじ均一料金化問題
宝くじの店頭販売価格が6月から一律80バーツと定められたことを受けて、タイ政府宝くじ局の担当者は4日、人の行き来の多いモーチット・バスターミナルとアヌサワリーチャイ(戦勝記念塔)周辺で抜き打ち検査を実施した。その結果、80バーツを超えて販売している小売人は見つからず、新しい制度が受け入れられている実態が判明した。小売人の中には新たにチップボックスを置いて、売り上げの減少を抑えようとするケースもあったという。
一方、宝くじ局のアピラット・コンソムポン少将は、プラユット首相が提案した冒頭3桁の番号を対象とした新たな賞の設置について、9月以降に実施したいとする考えを示した。宝くじの当選番号は末尾から順に決まっていくため、好まれない番号の宝くじが売れ残るという問題が発生していた。15日に開かれる委員会で詳細を検討する。(5日=カオソッド、7日=マティション)
2路線建設は民間企業に
首都電車公団が見解
首都電車公団(MRTA)は5日、建設が予定されるピンクライン(ケーライ~ミンブリー間34・5㎞)とイエローライン(ラップラオ~サムローン間30・4㎞)の二つの都市モノレールについて、建設からシステムの導入、車両整備、メンテナンスまで全てを民間企業に委託していく方針を明らかにした。同社のヨートユット・ブンヤーティカーン氏は「この方法が政府にとっても最もリスクが少ない。工期も半年から1年程度早まるだろう」と話した。(5日=プラシャシャート)
レッドライン建設で円借款
JICAから約100億B
政府は9日の閣議で、バンスー~ランシット間で建設が進められている都市鉄道「レッドライン」の第2期工事について、日本のJICAから総額約382億円(約100億バーツ)を借り入れることを正式に決めた。12日に借款協定書に署名する。
首相府のサンセーン・ケオカムネート広報担当によると、借入期間は20年間、金利は年0・4%。返済開始までの猶予期間は6年間が基本的な内容。建設主体のタイ国鉄は、第1期工事でもJICAから総額約630億円(約228億バーツ)の円借款を受けており、これにより借入総額は1000億円を超える。(9日=INNニュース、10日=バンコクビズ)
最低賃金制度見直しか
県ごとの経済状況を勘案
労働省のナコーン・シンラパアーチャー次官は6日、全国一律一日300バーツとされている現在の最低賃金の制度を見直し、県ごとの産業のあり方や進出企業など経済状況全般を勘案し、個別に設定していく考えを示した。実施となれば、10月にも開催される中央賃金委員会で新たな制度への変更が決まる見通し。
これに関連してプラユット暫定首相は8日、最低賃金制度の見直しに理解を示す一方で「今の景気情勢では最低賃金のアップは難しいだろう」と述べ、仮に見直しがされたとしても引き下げが中心になるとの考えを示した。一律300バーツの最低賃金制度は、インラック前政権が2013年1月に実施していた。(7日=バンコクビズ、8日=カオソッド)
列車の連結部外れ大事故に
踏切で人とバイクはねる
9日午前6時半ごろ、バンコク都バンスー区の踏切で、バンスー駅からスパンブリー県に向けコンクリートの枕木を積んで走行していた列車の連結部が外れる事故があった。この事故で、先行車両が踏切を通過したことから全車両が通過したものと誤解をした交通監視員が、踏切前で待機していた一般車両と通行人の横断を指示。そこに惰性で進行してきた後続の車両が突っ込み、少なくともバイクの運転手の女性(40)が死亡した。運転手は200メートルほど列車に引きずられたという。
事故を受けてタイ国鉄のウッティチャート・カンラヤーナミット総裁は会見し、事故の原因究明を急ぐとともに、死亡者とすべての被害者に対して補償を行うことを明らかにした。(9日=タイラット)