週刊ワイズで取り上げた【タイローカルニュース】注目をピックアップ。これさえ読めば、タイの“今”がわかる!? 今週は、違法漁業国指定期限が延長のニュースから。
違法漁業国指定期限が延長
11月15日までに抜本対策
欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会(EC)から「違法、無報告、無規則(IUU)漁業国」への指定を警告されているタイ暫定政権は18日、関係機関の代表者から成る拡大会合を開催した。今年10月までとされていた指定期限が11月15日まで延長されたことを確認したうえで、それまでに抜本的な対策を講じるようプラユット暫定首相が指示した。新漁業法による違法漁業への取り締まり強化と、一連の事件のきっかけとなった水産現場での奴隷労働撲滅が加速される。
暫定政権から現状についての報告を受けたECが、対策強化を条件に期限延長を決めた。これにより、10月にも発表される予定だったIUU漁業国への指定は当分、見合わされることがほぼ確実となった。タイ政府はこの間に改善策を推し進めるとともに、米国務省が発表する「人身売買報告書」からの制裁レベル引き上げも進めたい考え。(19日=バンコクビズ)
バンコク爆弾テロ実行犯か
「爆弾を置いた」と供述
8月中旬にバンコク中心部で発生した連続爆弾テロ事件で、複数のメディアは24日、同月29日に都内ノーンチョーク区にあるプーンアナン・アパートで逮捕されたアーデム・カラダク容疑者が、ラチャプラソン交差点での爆発事件の実行犯だと自供したと報じた。当初は爆弾の製造者だとみられていたが、「現場に爆弾を置いたのは自分」などと供述を始めたことから、同容疑者にかつらを被せ、メガネを着用させたところ、指名手配している黄色Tシャツ姿の男の似顔絵とよく似ていることが確認されたという。このため警察では、供述に矛盾がないか、裏付け捜査を進めている。
プラウィット副首相兼国防相は「証拠を精査しているところ」と語り、ソムヨット警察庁長官も「容疑者は当初、爆弾の製造についてのみ関与を認めた。確認を行う必要がある」と慎重な姿勢を崩していない。一方で、同容疑者の弁護人も「彼は逮捕直後からラチャプラソン交差点での爆発事件には関与していないと語っていた」としている。(23~25日=タイラット)
検閲反対署名が5万人に
政府は静観の構え
インターネットの不適切サイトや海外から発信される政治的な情報などを遮断するために暫定政権が実施予定のスクリーニング作業「シングルゲートウェイ」に反対するネット上の署名活動が間もなく5万人に達する。政府は現時点で静観の構えだが、反対意見が急速に増えれば対応に出る可能性もある。
「シングルゲートウェイ」というプロジェクトとは今年7月にICT省のポーンシャイ元大臣によって提案された。(24日=ポスト・トゥデイ)
豚レンサ球菌感染症が増加
生食などに注意を呼びかけ
2000年代にタイで集団感染が確認された「豚レンサ球菌感染症」についての予防セミナー(タイ研究財団主催)が15日、バンコク都内ノヴォテルホテルで開かれ、チュラロンコーン大学獣医学部のスパシャイ・ヌアヌアンスワン医師が基調講演を行った。同医師は「今年は北部で感染者が増えている」として、対策を講じるよう訴えた。
豚レンサ球菌感染症の感染源は経口感染が主なルート。豚肉を生食する食文化があるタイ北部では汚染された豚肉を口にする機会が多く、他の国や地域よりも罹患率や致死率が高かった。(19日=コムチャットルック)
PPPで5事業着手
経済副首相が承認
経済担当のソムキット・チャートゥシーピタック副首相は24日、官民パートナーシップ(PPP)委員会の会合で都市鉄道やゴミ処理施設の建設など5つのプロジェクトについて、民間の資本やノウハウを採り入れることを条件に年内着手を承認した。副首相は「PPPの採用で政府は投資コストを抑制することができる」と説明した。
承認されたのは①都市鉄道ピンクライン(ケーラーイ~ミーンブリー、事業費約567億バーツ)、②同イエローライン(ラップラオ~パタナカーン~サムローン、同547億B)、③地下鉄MRTブルーラインの延伸区間(フアランポーン~バンケー、バンスー~タープラ、同824億B)、④ノンタブリー県でのゴミ処理施設(同41億B)、⑤ナコーンラチャシーマー県でのゴミ処理施設(同22億B)の5事業。このほか事業の進捗を図るため、50億バーツ以下の事業については財務省次官を長とする会議に、10億バーツ以下のものについては各省庁で決裁できるよう権限も付与した。(24日=タイラット)
未成年暴行の元教師逮捕
わいせつ画像販売も
タイ国家警察中央捜査本部人身売買取関連犯罪抑制局は17日、未成年の女児らに性的暴行を繰り返し、その様子を撮影した写真をインターネット上に公開していたとして、元体育教師のデーシャー・プラディット容疑者を逮捕した。調べによると、同容疑者は2002年から04年にかけて、当時勤務していた学校やキャンプ場の施設内で、女児らを呼び出しては暴行を繰り返していた疑い。犯行後に10バーツを手渡し、口封じをしていた。被害者は約20人に及ぶとみられる。学校内で噂が広まり、04年に免職となっていた。(17日=デイリーニュース)
元警察庁舎建物が盗まれる?
元町長が被害を訴える
南部ナコーンシータマラート県ムアンナコーンシータマラート郡パークナコーン町で、かつて地元の警察庁舎として使用されながらも、現在は空き家となっていた木造建築物から、柱や壁などの建材が一斉に持ち去られ波紋を呼んでいる。同地で町長を務めたプリーシャーさんは「この建物はアメリカの援助で1981年に建てられ、2011年まで警察署として使用されていた。国有財産に対する窃盗事件だ。プラユット暫定首相は捜査してほしい」と訴えている。
関係者によると、建物の取り壊しを依頼されたと話す人物によって、建物の基礎を除いて柱などすべてが持ち去られたという。(21日=タイラット)
口論の末、火をつける
バイク運転手を逮捕
19日午後11時ごろ、バンコク都内ワッタナー区プリディパノムヨン通りにあるMISマンション1階の警備員詰め所で、タイ人の男がガソリンをまいて火をつける事件があり、警備員のマハマッド・ガデーさん(63)が全身に火傷を負ってまもなく死亡した。男は住民らに取り押さえられ、殺人の現行犯で逮捕された。
逮捕されたのは、バイクタクシー運転手のチャラン・ゴンギャン容疑者(39)。容疑者と被害者は普段から言い争いが絶えず、この日もマンション前にバイクを止めたことをめぐり口論となっていた。(21日=タイラット)
イグ・ノーベル賞受賞
タイ国家警察庁
ノーベル賞をもじった今年の「イグ・ノーベル賞」の経済学賞に、タイ国家警察が推し進めた「賄賂撲滅1万バーツプロジェクト」が選ばれた。受賞式典は米ハーバード大学で10月にも行われる。タイ側から出席者があるかは不明。
受賞したのは、警察庁長官のソムヨット大将が発案し、昨年10月から始まった警察官のイメージアッププロジェクト。賄賂の申し出を拒否し、贈賄犯を逮捕した警察官に対し1万バーツを支給するというもので、報奨の原資は長官がポケットマネーで負担した。
ところが導入直後から同プロジェクトに対する批判が国内外から持ち上がり、わずか数例で中止に。首都圏警察本部副部長のアデュン・ナロンサック少将は「もう2、3ヵ月続いていれば、汚職撲滅に効果があることを証明できた。残念だ」とコメントした。
イグ・ノーベル賞は1991年にアメリカの雑誌媒体などが創設。「人々に笑いを与えてくれた研究」のほか、皮肉や風刺を込めて社会的な事件や現象なども審査の対象としている。医学、心理学、平和、物理学などの各賞がある。(22日=マティション)
バンヤイで開発ラッシュ
百貨店、鉄道、高速道路
バンコク西郊ノンタブリー県バンヤイ地区で巨大開発プロジェクトが目白押しだ。8月28日には70ライ(1ライ=1600㎡)の土地に総工費100億バーツを投じて、売り場面積50万㎡の「セントラル・ウエストゲート百貨店」がオープンし、商業開発が一気に進んだ。
国営タイ高速度交通公社(MRTA)は来年5月、バンコク郊外バンスー地区とバンヤイ地区を結ぶ都市鉄道パープルライン(約23㎞、16駅)の試験運行を開始させる。そのための予算800億バーツを既に計上済。正式開業は8月12日の予定だ。
新しい高速道路の建設計画もある。高速道路公団(EXAT)は来年7月の開業を目指して、全長17㎞の高速道路新線の建設を進めており、事業費は328億バーツ。また、バンヤイ地区からラチャブリー県を経由し、西部カーンチャナブリー県に至る全長96㎞のモーターウェイの建設も始まる。予算総額は556億バーツ、完成は2019年を見込む。将来はミャンマー国境を結ぶ構想もある。こうした開発ラッシュを背景に、民間の不動産投資も積極的だという。(22日=マティション)
FB、事務所開設
タイの所在地公表せず
米ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「フェイスブック(FB)」は17日、タイに事務所を開設したと発表した。タイにおける利用者は世界で9番目に多い約3700万人。今後、有望な市場になると判断した。事務所の所在地は公表しない。
記者会見したアジア太平洋地区担当のダン・ニアリー副社長によると、タイ人が一日にFBに充てる平均時間は約2時間半。この数字はアジア市場の中で一番長いという。また、タイの中小企業などがFB上に開設する「フェイスブックページ」は既に116万件に上り、このうち約70%が有料の広告サービスを活用しているという。さらに、一般ユーザーの約57%がFBの検索システムなどを利用して商品やサービスの検索を行っているという。(17日=ポスト・トゥデイ)
自転車が静かなブーム
高級車指向が顕著
ここ数年、タイで自転車が静かなブームを迎えている。富裕層を中心に健康や環境によい点が受け入れられており、政府も国民の健康促進や渋滞解消の一助ともなるだけに推奨していく考えだ。
タイにおける自転車の普及率は一人あたり4~6台。欧州の8~10台には及ばないが、その分、成長の余地がある。なかでも価格が5万バーツ以上する高級車の人気は上々で、販売の伸びは前年比200%増。対前年比40~50%増の中級車(価格5千~3万バーツ)、同30%増の低価格車(数千バーツ以下)と比較しても雲泥の差。このため高級自転車メーカーなどへの投資も盛んに行われているという。(21日=ポスト・トゥデイ)
前払いSIMの登録を
未登録は利用不可に
国家放送通信委員会のターコーン・タンタシット委員長は21日、携帯電話に装着して使用するプリペイド式SIMカードについて、10月1日以降は事前登録をしない場合、通話や通信をすることができなくなると発表した。利用者は通信各社の営業窓口で、パスポートなどによる事前の身元登録が必要となる。犯罪の予防などが主な理由。(22日=タイラット)
チェンマイで大人気
飲酒運転を代行する飲食店
チェンマイ県ムアンチェンマイ郡で、飲酒運転をさせないために酔客を自宅まで送り届ける「飲酒運転はいけない!当店はご自宅までお送りします!キャンペーン」を始めた飲食店が話題となっている。ナパッカポン・シリブンヤウェートさん(46)が店長を務める「ホワイトハウス・レストラン」で、約1ヵ月前から試しに始めると、口コミで噂が広がり、集客アップにつながった。
軍事政権下、警察による飲酒運転の取り締まりが厳しくなったため、アルコール検問を避けようと飲酒運転を控えるドライバーが増えたことが背景にあった。ナパッカポンさんは「検問が厳しくなるのであれば、逆転の発想を」と経緯について話している。(22日=バンコクビズ)