週刊ワイズで取り上げた【タイローカルニュース】注目をピックアップ。これさえ読めば、タイの“今”がわかる!? 今週は、バンコク爆弾テロ、容疑者が実況見分のニュースから。
爆弾テロ、容疑者が実況見分
「実行犯に爆弾手渡した」
8日、タイ警察はラチャプラソン交差点で起きた爆発事件で関与し、逮捕したユスフ容疑者を現場に立ち会わせ実況見分した。
同容疑者は警察に対し、フアランポーン駅近くで爆弾の入ったリュックサックを実行犯に手渡し 、その後、トゥクトゥクに乗って爆破現場に向かい爆発後の写真を首謀者に送ったと供述。また、首謀者の男性の名前がアブードゥサター・アブドゥレマーン、またはイザーンということもわかっている。
9日、警察庁副長官のチャックティップ・シャイチンダー大将は「首謀者はバングラデシュを経て中国に逃げ、黄色いTシャツの男はマレーシアへ逃げていることがわかった」と発表。同事件の関与が疑われるタイ人女性のマイサーロ容疑者については、行方がわからないとし、警察は事件に関与したすべての人物の行方を追っている。(9日=デイリー・ニュース、ポスト・トゥデイ、10日=サヌック、11日=タイラット)
爆発事件の損失643億B
観光客等も133万人減少
タイ政府は8日の閣議で、8月17日と18日にバンコクで発生した連続爆発事件が観光などに与えた影響についてまとめた。それによると、事件によってタイ訪問を取り止めた外国人は約133万人。経済的な損失は643億バーツに達することがわかった。ただ、9月に入り、持ち直していることもあって、観光・スポーツ省では「第4四半期には回復するだろう」とみている。
爆発事件以上に深刻なのが景気の減速による観光等の収入源で、目標としていた年間8000億バーツの達成が難しいことも併せて報告された。(9日=マティション)
タクシン氏の階級を剥奪
暫定憲法44条の発動で
暫定軍事政権のプラユット首相は、海外逃亡中のタクシン元首相が持つ「警察中佐」の階級を剥奪した。6日付けの官報が公示した。今後、元首相は警察士官としての階級を名乗ることができなくなる。
通常、軍や警察士官の階級を剥奪する場合には国王に奏上し、裁可を得る必要がある。だが、プラユット暫定首相は事実上、全権を掌握する国家平和秩序維持評議会の議長として暫定憲法44条を発動し、タクシン氏の階級を剥奪した。政治的対立に国王を巻き込むことを避ける狙いがあったものとみられる。(6日=デイリーニュース)
イミグレ警官を近く処分
バンコク爆発事件に絡み
8月中旬にバンコク中心部で起きた連続爆発事件に絡み、タイ国家警察の入国管理局は7日、幹部ら259人を集めた緊急の会議を開き、容疑者の1人が逮捕された東北部サケーオ県のカンボジア国境で勤務する入国管理局所属の警察官数人が賄賂を受け取った見返りに入国を許可していた疑いが強まったとして、近く処分する方針を決めた。
会議では警察庁長官のソムヨット・プムパンムアン大将が「我が国の安全保障とタイ国家警察の名誉に著しい悪影響が出る行為は許されない」と訓辞をしたうえで、入国管理局のサックダー・シューンパックディー中将に必要な措置を取るよう指示を出した。(7日=マネジャー)
タイ人の家計債務増加
ヤミ金からの借金が過半超
タイ商工会議所大学経済・ビジネス予測センターのタナワット・ポンウィシャイ所長は3日、タイ人の一般的な世帯が抱える家計債務の現況調査結果について発表した。それによると、家計債務の平均は24万8004バーツで昨年同期比13.16%の増加。このうち、銀行などの金融機関からの借り入れが48.7%だったのに対し、非正規業者(ヤミ金)からの債務は51.3%とヤミ金債務が10年ぶりに上回った。
調査は全1200世帯を対象に行った。このうち「借金がある」と答えたのは80.2%で、「ない」と答えた世帯は19・8%しかなかった。「ある」と答えた世帯のうち、返済のための原資が「用意できる」と答えたのは12.2%しかなく、87.8%が「できない」と答えた。返済に要する平均的な金額は1ヵ月に1万4033バーツ余りで、前年同期比5%強の増加だった。(4日=デイリーニュース)
運転手らが救済求めて訴え
タクシン時代の大衆迎合策
タクシン政権下で始まった低所得のタクシー運転手に対する融資制度をめぐり、契約通りの車の引き渡しがなかったとして運転手ら108人が救済を求めた民事裁判が3日、バンコク都内ラチャダーピセーク通りにある裁判所で開かれ、運転手側から一人あたり180万バーツと年7.5%の金利分の損害を賠償するよう求める申述が行われた。融資の窓口となった中小企業開発銀行は、支払いは困難とし、改めて9月28日に期日が設定された。
同融資制度はタクシン政権時代の2004年に、低所得者のタクシー運転手が車を所持できるよう、低利のうえ頭金不要として始まった。いわゆる大衆迎合策の一環。当初は、トヨタ社製のアルティスが供与されることになっていたが、渡されたのは不人気車で「これでは客が乗りたがらない」などと苦情が相次ぎ、運転手らが裁判所に救済を求めていた。(3日=タイラット)
「気分障害」?ラオス人逮捕
通行人を殴るなどした疑い
タイ国家警察の首都圏警察本部は9日、暴行などの疑いでラオス人のウィラパン・インタウォン容疑者(38)を逮捕した。調べでは、同容疑者は8月12日から9月4日にかけて、バンコク都内のショッピングセンターや地下鉄車内などで通行人の頭を殴ったり、背後から暴力を振るったりした疑い。
被害者の一人がインターネットの掲示板サイト「パンティップ」に投稿したところ、似たような被害を受けている人が多数いることがわかり、警戒中の警察官が地下鉄駅で逮捕した。
同容疑者はラオスから密入国でタイに渡り、賭博や盗みなどを繰り返して暮らしていた。調べに対し「自分には気分障害という持病がある」などと供述している。(8、9日=タイラット)
トヨタ試乗コース開設
東部バンナーに6コース
トヨタ車の魅力を消費者にもっと知ってもらおうと、アジア太平洋地域の海外では初めてとなる試乗体験コース「トヨタ・ドライビング・エクスペリエンス・パーク」が9日オープンした。22ライ(1ライ=1600㎡)の敷地にオンロード、オフロードの各6コースを用意。急斜面や悪路など、さまざまな道路条件や各種コースを兼ね備え、体感ができる仕組みとなっている。現地法人トヨタ・モーター・タイランドが扱う全車種の試乗が可能。
コースはバンナーにあり、近くにはセントラル・バンナーと高速道路が建つ。土地を除いた総工費は約5億バーツ。敷地内にはレストランがあるほか、セミナールームで講習も受けられる。(9日=バンコクビズ)
バイオマス発電窮地に
政策の非一貫性が原因
タイ工業連盟の再生エネルギー部会で副部長を務めるナティー・シッティプラサート氏は、民間の発電事業者が参入してきたバイオマス発電事業が最近、相次いで売却の対象となっていることを明らかにした。政府によるバイオマス発電をめぐる電力の買取政策が一貫していないことが主な理由。副部長は「早急に対策を講じないと、タイのバイオマス発電は衰退していくだろう」と警告している。
売却に出されている同発電所は稼働後10年以上が経過した約10基。1基あたりの売却打診額は5~10億バーツという。背景には、主要な発電燃料である籾殻の高騰と、これに伴う買取制度の非一貫性があるという。(8日=プラシャシャート)
9月から漁業規制実施
IUU漁業国指定回避へ
欧州委員会(EC)から「違法、無報告、無規則(IUU)漁業国」への指定を警告されていることを受け、対応を検討してきたタイ政府の違反漁業問題解決センターは9日、新たな漁業規制について発表した。それによると、いずれも9月から11月にかけて、毎月1~3日と11~13日、21~23日は巻き網漁船による漁業が、1~3日と11日、12日についてはトロール船による漁業がそれぞれ禁止される。
決定について、サムットソンクラーム県メークローン漁業協同組合の会長は「以前の水揚げは一日に70~100コンテナほどだったが、最近は2、3コンテナという日もある。施策は水産業に深刻な打撃を与え、海外に輸出することもできなくなる」と批判した。(10日=プラシャシャート)
腐敗した学校牛乳を支給
常温で保存可能のはずが
北部ナーン県ナームーン市の公立学校で、昼食向けに提供された牛乳の多くが腐敗していたことが判明。この地区に牛乳を提供するピンルアン地区行政機構は、委託先の製造会社の関係者から事情を聞くなど調査に乗り出した。
タイには日本のような学校給食制度はないが、子どもの成長を考え「ノム・ローンリアン」という牛乳を業者に委託して提供している。通常は常温で数ヵ月間保存が可能。ところが、同地区のバーンナムリー校に配達された牛乳は賞味期限が2016年2月21日となっているのに、全48個中ほぼすべてが腐敗していたという。近隣の他校でも同様だった。地区行政機構のトーンサップ・ノータ事務総長は、牛乳が配達された10校から製品を回収し、調査を継続するとした。(8日=カオソッド)
13年間逃亡の殺人犯逮捕
自撮り写真の投稿決め手に
殺人罪に問われていた男が、13年間の逃亡の末、11日、ナコーンラチャシーマー県で逮捕された。自ら投稿したフェイスブック写真が決め手となった。容疑者の名前は、タナー・カンチャナサック(37)。2002年、バンコク都内のトンブリー区で友人だったノッパリット・マニーショート(当時35)とけんかの末、ナイフで刺して死亡させ、そのまま姿を消していた。警察は現場で発見した財布から犯人を特定していたものの、13年間逮捕することができなかった。
その後、容疑者はタイとマレーシア国境近くで漁師として働いていたが、さびしさからフェイスブックに自撮り写真を投稿したことで住居が判明し、逮捕につながった。(11日=タイラット)
東北部で妻射殺の男逮捕
銃弾12発を浴びせる
東北部ウボンラチャターニー県の警察は3日、殺人の容疑で県内に住む塗装工ウィナイ・トゥンマート容疑者(34)を逮捕した。調べでは、同容疑者は同日、仕事帰りに友人と酒を飲み、迎えに来た妻のアンカナー・イムラマイさん(33)と口論。拳銃で射殺した疑い。アンカナーさんは銃弾12発を浴び、即死した。犯行後、同容疑者はピックアップトラックを運転して逃走したが、緊急配備を敷いた警察官に逮捕された。(4日=タイラット)
BTS運営は都庁に
3者間で覚書締結へ
バンコク都庁交通・運送局のタウィーサック・レートプラパン局長は、延伸工事中の都市鉄道グリーンライン(BTSスクンビット線)について、都庁と運輸省、バンコク大量輸送公団(MRTA)の三者間で9月中にも了解覚書(MOU)を締結すると発表した。MOUによって、今後の運営主体をバンコク都庁に一元化する。延伸区間の6割程度は完成しており、早ければ来年末にも南東部区間のベーリン~サムローンが開通する見通し。
グリーンラインの延伸計画で、MRTAが受け持つ区間の工事終了後に都庁が資産ごと引き継ぐ。(8日=バンコクビズ)