どこまで続く土地神話

平均25%の上昇。財務省が土地評価額を公表。
注目は、経済特区、都市鉄道沿線、チョンブリー県

10月末、タイ財務省は、不動産取引や諸税の算定基準となる2016〜19年の土地評価額を発表した(同評価額は4年に一度公表される)。それによると、タイ全土の地価は、前回発表に比べて平均25%上昇。バンコク都内は、同15・78%上がった。特に、BTSやMRTといった都市鉄道の路線エリアでは、同75%と大幅な上昇を見せた。

バンコクで最も高値となったのは、お馴染みのシーロムエリアで1タランワー(1タランワー=4m²)あたり100万バーツ。平均値では、BTSラチャダムリ駅とシーロム駅周辺が、同82万バーツと最も高かった。一方、バンコク以外で最も評価額が上昇した地域は、タイ北部ナーン県で、同111%、1タランワーあたり平均8万5000バーツ。ほかにも、東北部コンケーン県で同28・53%、同19万バーツ、中部ナコーンサワン県で同21%、同10万5000バーツなど、全国各地で軒並み評価額は上がった。

注目すべきは、経済特区、都市鉄道の新線周辺、チョンブリー県。

先ず、タイ政府が進める国境周辺の経済特区は、全体で約40〜50%上昇。今後も開発が進むにつれ、神話は続くとみられている。また、続々と整備が進むカラーを路線名とする都市鉄道。なかでも、BTSやMRTの延伸整備が進むBTSモーチット駅(MRTチャトチャック駅)周辺の評価額は、1タランワー50〜60万バーツだが、将来的には同100万バーツまで上昇すると予想され、すでに大手デベロッパーを中心に、コンドミニアムの建設ラッシュが続く。最後に、チョンブリー県は、言わずもがな周辺に工業団地が立ち並び、パタヤ、シラチャといった日本人を含めた外国人が多く住む地域。シラチャ市のターニー市長は、評価額の発表 を受けて「シラチャ市の1タランワー当たりの土地評価額は、18〜22万バーツとされたが、投機されると同30万バーツには上がるだろう」と さらなる地価高騰を示唆。

不動産の価格は必ず値上がりする。これが土地神話。だが、日本も中国もバブルは崩壊した。需要があれば、価格は上がり、逆になくなれば下がるのが、経済学の基本的な考え。いつまで続くかはわからないが、現状、神話が続いていることだけは確かだ。

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