ウーバー VS タクシー

世界中で展開するウーバーが、タイのタクシー業界を変えるか。

 

先月22日、スワンナプーム国際空港で、同空港署の警察官が、日本人観光客を迎えに来た「ウーバー(Uber)」の運転手を逮捕。運転手には、罰金2000バーツが科された(本誌既報)。この件で、運輸省陸運局とタクシー運転手らは改めて、配車サービス業者への批判を強めた。
世界68カ国、ユーザー約4000万人を数えるウーバー。同様のサービスとして、東南アジアで展開する「グラブカー(GRAB CAR)」も陸運局は違法と判断。ウーバーと同じく取り締まりを強めている。両サービスを違法とする大きな材料に、公共交通機関として陸運局へ登録されていない(いわゆる白タク)ことが挙げられる。現状では、乗客との間でトラブルが発生したとしても、陸運局は対処できない。だが、ウーバー側は、自分たちのサービスはあくまでも“ライドシェア”であり、公共交通機関としての登録は不要と主張。「我々のサービスが違法だというならば、国が法律を改善してほしい」と譲らない姿勢を見せ、話し合いは平行線を辿っている。
一方、国民はウーバー側を支持。理由は明確。一般のタクシーとのサービスの質の違いだ。乗車拒否やぼったくり、不潔な車内など、悪名高いタイのタクシー。対してウーバーは、アプリを使って(目的地がどこであれ)配車依頼が可能。車内は清潔で、運転手のプロフィールを事前に確認できるなど、(違法と知りつつ)利用する心情は理解できるというもの。
陸運局としても国民の気持ちに理解を示しており、昨年8月には、GPS、CCTV、緊急ボタンの設置や、クレジットカード支払システムの導入を盛り込んだ「Taxi VIP」プロジェクトを内閣が承認。さらに、空港やモーチット、ビクトリーモニュメントなどに監視チームを配置し、乗車拒否のタクシーの取り締まりを続けている。陸運局のサニット局長は国民に対し、マナー違反のタクシーを見つけたら、1584のコールセンターへ車のナンバーを連絡するよう呼びかけている他、陸運局に登録した配車アプリ(All Thai TaxiとSmart Taxi)があるとして、「ウーバーやグラブカーの利用は(彼らが陸運局に登録するまで)やめてほしい」と訴えた。タイのタクシー業界は変わることができるのか。展開を見届けたい。

 

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