この時期の風物詩、タイの菜食週間を3日限定で挑戦
初日の切ないカレーから始まり、得られたものとは?
タイの菜食期間“ギンジェー”。中国からタイに移住した人たちが持ち込んだ習慣で、肉や魚を食さず、アルコールを控え、身も心も清めるという期間のこと。ということで、わずか3日間の限定ながら、実際にギンジェーを体験してみた。
まずは初日。スクンビットのタイ料理店で、ギンジェー仕様の「グリーンカレー(チキンなし)」を食す。これまで食べたどんなカレーよりも味気ない。先が思いやられる。一方、一緒にいた編集長は目の前で、ガイヤーンをほおばりながらビールで流し込み、この店が「ガイヤーン」の名店だと力説する姿に若干の怒りを覚えたが、ギンジェー中にはネガティブな思考もご法度。グッと堪えた。
2日目の昼食は“斎”のマークが掲げられた屋台へ。肉なしの焼きそばをチョイス。おばちゃんが盛りつけてくれた焼きそばは、パンチがなく、もっさりとした味。早くも耐えられるか不安になるが、夜は中華街のヤワラートに向かった。黄色に染まった街はまるでお祭りの雰囲気。ギンジェーメニューがある店を探していると、一際にぎわっている店を発見。再び焼きそばを注文し、食べてみると、意外なほどおいしい。マイルドな味つけは日本の味に似ている。「これならイケる!」と確信し、本能のままにむさぼった。
3日目は朝からすこぶる調子がいい。目覚めはバッチリ、頭も冴えている。この日の昼食もギンジェー屋台に出かけ、ぶっかけ飯を食す。思ったよりしっかりとした味つけでおいしい。どうやら舌がギンジェーに対応した模様。そして最後の晩餐はコンビニで購入した。ギンジェー仕様のレッドカレーと餃子、豆乳デザートで少し豪華に。ここで予想外の事態が起きる。ギンジェーは辛いものはNGのはずだが、カレーがケタ外れの辛さなのだ。「ギンジェー仕様なのにおかしい!」と空腹も相まって怒りが込み上げたが、そこはギンジェー。すぐに冷静さを取り戻し、辛すぎるカレーを涼しい顔をして完食。「そう、これこそがギンジェー」と一人悦に入っていた。
実際にやってみて効果が表れ、これまでの食生活を振り返るいい機会となった。今後は草食系になろうと決心し、しばらくギンジェーを続けることにした。