センセーブ運河の爆発事故

主要交通のアクシデントに日本人社会も衝撃
背景には運賃値上げ避けるためのコスト削減

 

5日午前7時ごろ、バンコク・ラムカムヘン通りにあるワット・テープリーラー船着場において、センセーブ運河ボートがガス漏れで爆発。日本人を含め、乗客68人が負傷した。
同ボートは、街の中心を横切るように流れるセンセーブ運河を走る、バンコクの主要な公共交通機関。運営するクロープ・クルア・コンソン・2002は、1990年10月からセンセーブ運河ボートを運行。現在は71隻のボートを保有している。同運河を走っているボートは大型ボート(123席)と小型ボート(80席)の2種類。席数が決まっていても乗客に着席義務はなく、立って乗船する客もいて、すし詰め状態になることも。
爆発したボートは大型で、運輸省海洋局から利用許可も得ていた。最後の船検は2015年12月17日で、ボート免許も有効の正規の船。燃料はLNG(液化天然ガス)と軽油の併用で、エンジンはボート中央にある。事故当時の乗客数は123人と定員いっぱいだった。
事故翌日の6日、運輸省は調査班を発足。7日、オームシン運輸副大臣が進捗を報告した。それによれば、船尾で爆発が発生し、配管からのガス漏れがその原因と特定。すぐに同省はセンセーブ運河でのガスボート利用を禁止した。現在、同運河を走っているボートは71隻あり、内訳はガス26隻、軽油45隻で、26隻はガスボンベを外され、すべてのボートが軽油で運行することとなった。
そして運輸省は、ガス使用を禁止し、同省による検船のうえで軽油に変更させることにした。もしガス利用が発覚したら、罰金1万バーツを科す。また、軽油の値段が上がれば、ガス利用再開を検討するという。
ガス利用が拡大した理由は、ここ4年〜5年でガソリン価格の上昇したにもかかわらず、運輸省が運賃の値上げを認めてこなかったという経緯がある。コスト減を促すため、事業者に対し燃料としてガスと軽油を利用させてきた。ガスはこの5年間使われてきたが、事故は今回が初めてだった。
いきすぎたコスト削減が原因であれば、それを正すことは重要。運賃の上昇を受け入れることも必要だろう。

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