博士号や卒業証明書、学位がお金で買えるタイの実情

博士号が簡単に取得できる大学や、偽造卒業証明書のネット販売など
学位が“商品”として扱われ問題となっている。

大学の講義に出ず、研究をせずとも学位を取得できるカリキュラムがあるとして南部のとある大学がニュースになった。

教育省も「タイ政府高等教育委員会ではこの問題をずっと抱えている」としているが、早急に講じる対策は今のところ発表されていない。

タイでは「就職に有利」「キャリアにハクが付く」という理由から、博士号や有名大学の卒業証明書を欲しがる人が増えており、そのマーケットを狙ったビジネスもここ4〜5年前から多くなっている。

前述の南部の私立大学は、試験なしで入学でき、講義に一度も出席しなくても卒業することができるという。
また、1人の生徒が9人の入学を案内すると、案内した生徒は授業料が免除になるという特典を設けるほか、博士論文のグループ作成を認め、メンバー全員に博士号を授与するなど、入学者=収入源を増やす仕組みがあった。

さらに、ネットによる偽造卒業証明書の販売も横行している。

試しに「卒業証明書、仲介」とタイ語で検索したところ200万件以上がヒットした。
あるサイトには、「ラムカムヘン大学・マーケティングまたは会計学部、卒業式出席可」「メーチョー大学・経済学部、卒業式出席可」「サイアム大学・コミュニケーション学部」など、具体的な大学名と学部が書かれており、卒業式がセットになって売られているものもあった。

購入方法は、名前、生年月日、住居登録証、顔写真、身分証明書、両親の名前、卒業希望年などの情報をメールで業者に送る。
価格はまちまちだが、掲示板サイト「パンティップ」によると、大学卒業証明書が1万〜3万バーツ、大学院は2万〜4万バーツだった。

また、偽造証明書を申し込んだのち、急にキャンセルをしたり、代金を支払わなかったりすると、ウェブ上に業者に渡した顔写真とプロフィールが公開されてしまう。実際、何人もの学生が販売サイトで晒し者にされている。

大学の教育課程を修了し、目的とする能力を身に付けた者に対して与えられるはずの学位が、形だけのものになってしまわないよう、願うばかりだ。

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