年々、在留邦人数が増加するタイは、日本ブームのまっただ中。日本へのタイ人観光客も増えていることにより、日本食はタイ人の間で浸透しつつある。そんななか、タイの日本酒市場に挑むのが白鶴酒造だ。今回、白鶴酒造株式会社海外事業部の小瀬瑛之氏と、同社販売代理店、SKリカーのAnucha Charoenchitmun氏に話を聞いた。
まずは白鶴酒造の歴史からお聞かせください
小瀬 :1743年、日本でも随一の酒どころとして知られる兵庫県神戸の灘で創業し、今年で273年になります。創業当時から一貫して、「おいしさ」と安心・安全の「ものづくり」を掲げ、酒造りを行ってきました。
白鶴酒造の強みは
小瀬 :日本酒に大事な要素は、米・水・人の3つです。当社では、米どころで知られる兵庫の土壌で育った最高品質の酒米と、酒造りに適した六甲山の伏流水を使用しています。
3つめの“人”は、長年の経験と卓越した技術を持つ杜氏が、伝統的な手法で酒造りを行うとともに、専門知識や醸造理論に基づいた高度で新しい技術を融合させます。そうすることによって、進化をし続けていると自負しています。
白鶴酒造がタイで日本酒の販売を開始したのはいつですか
小瀬 :約20年前になります。タイ進出当初よりSKリカーさんに販売をお任せしていまして、「生貯蔵」と「上撰辛口」の取り扱いから始めました。これをきっかけに、当社の商品がタイで注目されるようになったと思います。
Anucha :この2品は今でも売れ筋商品ですね。
タイの日本酒市場はいかがでしょうか
Anucha :現在、さまざまな日本酒メーカーが凌ぎを削っていますね。日本食ブームは続いており、最近ではタイ人の日常の中にも「日本食」が定着しつつあるかと思います。
JETRO(日本貿易振興機構)の調査によると、国内には日本食レストランが約2700軒を超える数が存在します。これは、タイ料理レストランに次ぐ数。バンコク都内の出店率は鈍化していますが、それでも特筆すべき数字だと思います。また、近年は富裕層を中心に日本の文化に興味を持つ人が多くなってきました。日本へ旅行するタイ人は年々増えていますが、お土産に日本酒を買う人を見かけるようになっていますね。
小瀬 :それでも、日本酒は日本食ほどまだまだ浸透はしていないという感じを受けます。しかし、2012年に日本酒の関税が撤廃され0%になったことで、進出してきた日本酒メーカーが急増しています。争いが熾烈であることは変わりません。
白鶴酒造は、海外への日本酒出荷量ではトップを誇っています
小瀬 :お陰様で海外50ヵ国に展開し、ここ10年は日本産の日本酒出荷数で国内1位となっています。タイでも高いシェアを取らせていただいているんですが、それもSKリカーさんがあってこそです。「流通の一流」であるSKリカーさんと、「製造の一流」としてタッグを組めるようになっていきたいと思います。
今回、タイで海外専用商品を販売されるそうですね
小瀬 :11月下旬より、「杜氏鑑(とうじかん)」「特別純米山田錦」「純米吟醸山田錦」の3商品の販売を開始します。
特に「杜氏鑑」は、杜氏の中でも卓越した醸造技術を持ち、酒造りの模範となる人物を指す“杜氏鑑”を冠する自信作です。清酒本来のうまさを追求したため、きめ細かく芳醇で、まろやかな味わいとなっています。冷やでも熱燗でもおいしくいただけます。なめらかで優しい口当たりの「特別純米山田錦」と、気品のある吟醸香が特徴の「純米吟醸山田錦」とも、最高級の酒米で、兵庫県産の山田錦を100%使用しています。山田錦特有の豊かなコクを感じてください。
Anucha :先程小瀬さんも仰っていましたが、より多くのタイの消費者の皆様に日本酒のおいしさを理解していただくことが、私たちの課題です。今後は飲食店でのプロモーションや、商業施設でのイベントを実施して、まずは「日本酒を知る」きっかけ作りを行っていければと思います。
小瀬 :「杜氏鑑」を筆頭に、味には絶対の自信があります。SKリカーさんと協力して、「白鶴」ブランドをタイでももっと、広めていきたいですね。
お問合せはS.K.LIQUOR まで
電話:02-216-6135〜6、02-214-1479(タイ語)、087-426-2241(日本語)
営業時間:09:00〜17:00(日・祝休日)
住所:149/5 Charoenmuang Rd., Rongmuang, Patumwan, Bangkok 10330
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