タイ証券取引所に上場している4番目のセクターは工業分野である。14年度末時点で工業分野は6つに分かれており、自動車「Auto」19社、産業部品・機械「Industrial Materials & Machinery」8社、製紙「Paper」1社、石油化学「Petrochemicals」 14社、包装「Packaging」16社、最後に鉄鋼 「Steel」27社の合計85社。今回は自動車系、産業機械系を支える、鉄鋼・スチールで上場している上場企業を解説する。タイの鉄鋼業界は外資とローカル資本への参入を促すと共に、参入制限を徐々に解除することによって、川下工程から鉄鋼市場規模の拡大を進めてきた。鋼板事業について当初、タイ政府は1社のみに独占的な事業運営権を与え、有力財閥のSahaviriyaグループが出資するSahaviriya Steel Industries(SSI)が操業を開始した。
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工業セクターの鉄鋼部門では、2015年10月、タイ熱延製造最大手のサハヴィリヤ・スチール・インダストリーズが英国に持つ高炉一貫製鉄所の完全停止を決めたと発表した。同社は11年にタタスチールグループ傘下のコーラスUK社からティースサイド・キャストプロダクツ社を買収していた。近年、世界市場で鋼材供給能力が 需要を大きく上回り、結果、鋼材価格が下落し、赤字が継続していたのが要因。同業界は世界経済の回復や、鋼材需要の回復がないと厳しい業界になっている。
※タイ証券取引所(SET)では厳密に分けると同業でも違うセクターで上場しているケースもある。 今回は原則セクター別の基準を準拠して解説。非上場の企業は今回は解説をせず除外している。
阿部俊之
ASEAN JAPAN コンサルティング社代表取締役。市場調査、分析、マーケティング、企業設立を得意とし、2015年末に向けてASEAN経済共同体(AEC)向け市場マップを配布中。TEL02-612-7323(資料請求はこちらへ)