EECへの投資求め、積極PR。アジアのハブを宣言
ソムキット副首相を筆頭に経済関係閣僚らが6月4日から8日の日程で訪日。恒例のタイへの投資呼び込み行脚の成果は上々だったようだ。
5日、同副首相とBOI(タイ投資委員会)のヒランヤー長官らは、世界初のクモ糸繊維「QMONOS」の量産化に成功したSPIBER(スパイバー)のほか、京セラ、SUBARU(スバル)、クラレの4社と相次ぎ懇談。同副首相は「4社とも90%の可能性でタイに投資するだろう」とし、同長官も「年内にタイ投資を決断し、投資額は250億バーツにのぼる」とほくほく顔。また、ウッタマ工業相は福島県知事と面談し、医療機器産業の集積や人材育成に取り組む相互交流の覚書を結んだ。ほかにも、東部3県で整備を進めている経済特区「東部経済回廊(EEC)」への協力、バンコク〜チェンマイ間(約700キロ)を日本の新幹線で結ぶ高速鉄道に関する覚書など7つを結んだ。
ご多分に漏れず、この行脚で最も力を注いだのは前述のEECへの投資呼びかけ。同副首相は、招待を受けたシンポジウムや交流会などで、「EECは5年間で1.5兆バーツ(430億ドル)の予算を費やし、交通インフラ整備や次世代産業の集積を目指す」と日本からの投資を呼びかけるとともに、外資の参入障壁の撤廃や税制改正など投資環境の整備を約束。その上で「タイはCLMV(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の中心に位置する国で、EECがASEAN発展のハブとなる」と強調して謳った。一方、今年が日タイ修好130周年であることを引き合いに「タイ政府は修好130周年を記念し、ビッグイベントを開催する」と明かした。さらに、日本が舵を取る環太平洋経済連携協定(TPP)についても、「タイは全力でサポートする」とリップサービスも忘れなかった。
5日間に渡ってEECを売り込んだ訪日団。多くの土産を持って帰国の途につけたのではないだろうか。