タイ暫定首相、憲法44条を適用し違法行為の取り締まりを強化

暴走行為で逮捕された400人の若者

暴走行為で逮捕された400人の若者

 

酒類販売・提供と暴走族の締め付け強化。
タイ軍政が伝家の宝刀「44条」発令

暴走行為や未成年者への酒類販売・提供はダメ! プラユット暫定首相が“伝家の宝刀”を抜いた。7月22日、国家平和秩序維持評議会(NCPO)は、公道での暴走行為、教育機関周辺での酒類の販売、未成年者の酒場への入店といった違法行為の取り締まりを強化するとして、強権発動を規定した暫定憲法44条を適用させた。

今後、20歳未満を酒場(バーやパブといった酒類専門店)側が入店させた場合、営業許可証の取り消し及び5年間の営業停止となる。また、学校や寮など教育機関周辺での酒類販売も禁止。警察には発見した場合、直ちに閉鎖命令を出す権限を付与した。一方、集団による交通妨害や危険走行、違法改造車による騒音などの暴走行為に関して、公道でのバイクや自動車レースを禁止し、発見した場合はその場で乗っているバイクや自動車を押収。未成年者ならば、保護者の監督責任として、違反者(2回目以降)の保護者に対し、3ヵ月以下の懲役または3万バーツ以下の罰金が科せられる。

さらに、違法改造車については、道路交通法違反となる改造車用のパーツを製造・販売した者に対しても、6ヵ月以下の懲役または2000〜最高2万バーツの罰金を科す。これらを取り締まる側である警察機関にも、取り締まり(命令)を実行しない場合は、処分を下すという厳しい姿勢を示した。

暴走行為については、これまでも多くの国民から騒音や、安心して歩けないといった苦情が寄せられ社会問題となっていた。今年5月には、オートバイによる暴走行為で約400人が逮捕されたばかり。酒類販売についても、大学近辺のアルコール販売店による違法時間(深夜24時以降)の販売が常態化。タイ国内15の大学での調査では、学校から半径500m以内の酒類販売店数が、2009年の1448店から、14年には2869店と大幅に増えていた。政府はこうした事態を重く見て、発令に踏み切った。

ただ、教育機関周辺についての明確な距離数は発表されておらず、ショーフワイ(タイの商店)でもアルコールは提供されている。警察の現場判断=裁量とするのか、判断基準が注目される。

この記事をSNSでシェア!

一番上へ戻る