非常事態宣言解除から1ヵ月、数字で見るデモによる影響
タイ政府が今年1月22日に発した「非常事態宣言(3月19日解除)」により、タイ観光業界は大打撃を受けている。
「2011年の洪水よりもひどい。当分、回復は見込めないよ」
タイ・エアアジアのタッサポンCEOは、観光・スポーツ省が11日に発表した2014年第一四半期(1月〜3月)の訪タイ外国人数を受けて、こう嘆く。
同省によると、第1四半期の訪タイ外国人数は、659万8240人で、前年同期に比べて40万9664人(5・85%)が減少。また、これまで訪タイ外国人全体の半数以上を占めてきた日中韓と東南アジア地域も、12・6%減となった。さらに、直近3月の国別訪タイ旅行者数では、日本が26・1%減と最も減少率が高く、訪タイ者数が多い中国も11%減、韓国は11・4%減となり、改めて非常事態宣言が、外国人旅行者の動向に影響を与えたことがわかった。同省のソムサック大臣も「昨年3月の一日の平均訪タイ観光客数は7万人だった。それが今年は4万5000人に留まった」と落胆の色をみせる。
観光大国タイにとって、外国人観光客数の減少は国家運営にも影響を及ぼしかねない。
キティラット副首相兼財務相は8日、2014年度(13年10月〜14年9月)の歳入について、目標とする2兆2750億バーツに達しないとの見通しを発表。理由として、長引く政情不安に伴う景気低迷のほか、観光収入の減少を挙げた。
一方で、暗雲漂うタイ観光業界にとって光明ともいえるニュースもある。
Pacific travel Association(太平洋アジア観光協会)が、このほど発表した「2014〜18年の太平洋アジア地域における観光動向」では、タイが最も渡航者数が伸びるとし、タイ観光業界は年27・5%の成長が見込まれるという。また、18年には同地域を訪れる観光客数が6億6000万人に上り、そのうちタイは7960万人になると予想した。この数字が示すのは、早く政治が安定すれば確実に成長を遂げる。そんな思いが込められているという気がしてならない。