日本人ご注意! ニッポンと違うタイの交通事情。
くれぐれも、タクシー降車は左から
「タクシーの右(道路側)のドア開閉にご注意!」。
日本のタクシーは、右側(チャイルドロック)のドアは開かず、乗降することはない。ただ、タイのタクシーのドアは開けられるため、読者のなかにも、右ドアから乗降した人もいるだろう。
先日、日本人が多く住むトンローで、日本人女性のウシオさん(35、仮名)がタクシー降車の際に、後部座席右側のドアを開けたところ、後方から別のタクシーが接触する事故が発生した。
ウシオさんが乗車していたタクシーはドアが破損。運転手は「お前が悪い。どうしてくれるんだ」とウシオさんに詰め寄り、後方からぶつけた別のタクシー運転手もミラーなどが壊れ、「どうしてくれる!」とドアを開けたウシオさんを責めたてた。ウシオさんも、食い下がり「後方からぶつけたタクシーの前方不注意だ」と主張し、ゆずらない。3人は警察署へ。すると、タイ警察は「後方を注意しないで開けた方(ウシオ)が悪い」とジャッジした。
日本の法律では、同乗者がドアの開閉で事故を発生させた場合でも運転手に責任が生じる。過失を回避するには同乗者に注意喚起を促さなければならないという。また、衝突・接触させた方にも前方不注意による過失責任が生じる場合もある。
とはいえ、ここはタイ。同様の法律はなく、警察は「乗客は左から降りなければならない。後方確認せずに右側のドアを開け、他人の財産に損害を与えた乗客に賠償責任がある」とウシオさんに全過失があると判断。
一方、今回の事故について、あるタイ人法律家は「右側降車を禁止する法律はないし、状況によっては、後ろから衝突した車に前方不注意による過失の一端はある」と話す。結局、ウシオさんは、警察(保険会社含む)が決めたタクシー側の被害額1万1000バーツを運転手らに、それぞれ支払ったという。受け取った運転手らは、笑みを浮かべこう言った。「外国人を乗せるとよくあることだよ」。
少々、疑問の余地も残るが、降車時の後方安全確認は万国共通。教訓はただひとつ。“右のドアは開けるべからず”。