バイクの陸橋・トンネル通行一部禁止に

バイクでの陸橋・トンネル通行に対する法律強化
ドライバーからは不満と疑問の声が挙がる

 

バンコク首都圏警察本部は3月末、交差点にかかる陸橋及び交差点下のトンネルでのバイク走行を一部禁止すると発表した。これは、陸橋やトンネルでバイクによる交通事故や渋滞が多発していることを受けての措置。対象地域は陸橋39ヵ所、トンネル6ヵ所で、都内でも有数の事故発生現場。違反した場合、500〜1000バーツの罰金が科せられる。
今後、バイクは高架下の交差点での信号待ちを余儀なくされることに。交差点では直進禁止の場所もあり、陸橋を使用できないとなると、迂回が必要になる。また、チャオプラヤー川に架かるプミポン橋では、バイクは渡し船を使ってラマ3世通りに行かなければならなくなるなど、大きな負担は避けられない。
あるドライバーは、「我々は長年、多くの交通問題を抱えているがいまだ未解決。今回も事態がすぐに好転するとは思えない」とその効果を疑問視。別のドライバーは「自分たちが支払った税金は、陸橋やトンネルの建設や修繕に使われているのに、なぜ(バイクだけが)通行禁止になるのか」と不満を露わにした。
実は、1979年成立の陸上交通法で陸橋のバイク通行はすでに禁止されている。これは当時バイクの排気量は小さく、陸橋を上る際に停止してしまう危険性があったためだ。しかし、今のバイクは排気量が少なくとも100㏄以上が主流で、陸橋を容易に越えられる。また、都内のバイク登録数は約300万台(陸運局調べ)と自動車よりも多く、通行禁止区域を設けることで新たな交通渋滞を生むとして、違反が黙認されてきた。それが突然の罰則強化。ドライバーが反発するのも無理はない。
予想以上の批判に首都圏警察のアドゥン副警察委員は発表翌日、「現在はテスト段階であり、(テスト開始から)90日後に結果を査定した上で判断する」と説明。また、世界保健機関の2015年度版調査で、タイは13年、人口10万人あたりの交通事故死亡者数が世界ワースト2位だったとし、「安全性の確保は最も重要で大切なこと」と今回の措置に理解を求めた。
現在、一部ドライバーが規制見直しを求めて署名活動を実施。4月25日に行政裁判所へ提出しようという動きも出ている。

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