バンコクの主要道路が冠水。対策は洪水よりもゴミ問題

 道路が冠水するスクンビット・ソイ21(アソーク通り)のグラミー前

道路が冠水するスクンビット・ソイ21(アソーク通り)のグラミー前

 

雨季の風物詩。解決への近道は、
洪水対策よりゴミ問題をどうするか?

2015年6月8日未明の豪雨で、バンコクの主要幹線道路や、日本人が多く住むスクンビット界隈のソイで冠水し、公共交通機関をマヒさせ、朝の通勤・通学ラッシュを直撃した。かくいう編集子も、靴を鞄にしまい、サンダルで出社したほどだ。水かさは、アソーク通りで約40センチの高さとなり、ソイ39やソイ33では膝上まで冠水する有り様。ただ、バンコクに住む人ならば、一度は、雨季に経験する道路の冠水模様。もはや「まるで川のよう」とする比喩表現は、珍しくない。

とはいえ、ここは経済発展を遂げ、世界に冠たる大都市に成長した“バンコク”である。いつまでも豪雨の度に、洪水被害を出していたのでは、国際社会から「こんな脆弱なインフラでは、投資はできない」と信頼を失い、国の発展機会を損ないかねない。

肝心の首都圏庁はというと、「予想以上の大雨で、ポンプによる排水が間に合わない」とお決まりの口上に加え、市民から排出されるゴミが、排水口や水門を塞いだことも、原因のひとつとされた。同庁職員によれば、すぐに洪水となるのは、運河にゴミを捨てる人が絶えなく、ゴミが沈殿。ひと度、大雨が降れば、溜まったゴミが一斉に水門に押し寄せ、蓋をしてしまうからだという。あるタイ人識者は、「1万2000年前まで、バンコク周辺は海だった。そのため、標高が低く、チャオプラヤー川の水位は、河口にある湾の潮位の影響を受けるほど」と洪水リスクの高さを説明する。

そうであれば、バンコクの首長は、否が応にも洪水対策を打ち出さねばならず、現スクムパン都知事も、選挙公約時に「洪水対策」を掲げた。そのひとつが、洪水対策用の「地下トンネル建設計画」だ。すでに1秒間に60㎥の水量を流せる直径5m、長さ5kmに及ぶトンネル1本(ラマ9世通り〜ラムカムヘン)が完成しているが、その効果のほどを聞けば、「大量のゴミが沈殿し、発揮できずにいる」(同庁関係者)とお瑣末な返答。同庁は、早期に残り3本の完成を目指している。ただ、それまでは、現在の1本で対応せざるを得ないが、「対応量(1秒/60㎥)以上の雨が降れば、どうしても洪水が発生してしまう」と心許ない。先ずは、ゴミ問題の解決が先決か……。

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