歴史の傷跡は癒やすもので、再燃させるべきではない。 タイのドラマに放送中止を要請
タイ有数の制作プロダクション「カンタナ社」が作った歴史ドラマ「プルンプラナーン(女性の炎)」が放送中止を要求されていると、フランスの通信社AFPによって発表された。中止を求めたのは、ビルマ(ミャンマー)王朝の子孫にあたるソ・ウィン氏で、3月12日に放送された内容が「かつてのビルマ王朝を侮辱している」と訴えているという。
同ドラマは、1996年に放送された作品のリメイク版で、「カンタナ社」創立65周年の記念事業として制作。
タイ北部・ラーンナー地方に存在した王朝を舞台にした、生々しい政権争いと栄枯盛衰の物語。
問題とされているシーンは、ドラマ内で登場するビルマ(ミャンマー)王室の女性たちが互いに、平手打ちや顔を蹴り飛ばすなど激しく争う場面。
制作者側は、同ドラマについて「ラマ国王4世のダムロンラーチャヌパープ皇太子による『Journey through Burma in 1938』と、1940年代に活躍した政治家と学者による『パマー・シア・ムアン(ビルマがヴァージン諸島をイギリスに占領された時代に言及)』という2冊を参考に制作した」と発表。
その上で、王族の末裔の指摘に対しては「過去の放送内容に一部追加された部分はあるが、このドラマは実際の出来事を、そのまま辿っているわけではありません。
多くはフィクションです」と反論。
それに対し、ソ・ウィン氏は、「もしミャンマーでもタイ王朝の尊厳を傷つける歴史ドラマを制作すれば、タイ側も黙ってはいないだろう。
ミャンマーとタイの友好を守るためにも、直ちに放送を中止すべき」と頑なだ。
今のところ番組を中止する気配はないようだ。
そもそも、番組自体が記念事業であり、タイで高い評価を受ける女優パチャラパーさんをヒロインに起用するなど、大規模な予算で進行している。
簡単に中止はできないだろう。
逆に、今回のニュースによって世間の関心がさらに集まり、番組への注目度が高まっている。
とはいえ、歴史認識での相違は、簡単には解決できないが、タイには多くのミャンマー人も生活する。
エンターテインメントの話でもあるし、平和に解決して欲しい。