長谷場:まずはコレ、1972年に制定された投資奨励法のポイントを見てみましょう。
長谷場:ここに書かれていることは全て、基本的に現在有効な2017年版の投資奨励法でも引き継がれています。
ミィ:そういえば1972年と言えば外国企業規制法が制定されていましたよね? 投資奨励法との関係はどうなっているんですか?
長谷場:はい。以前、勉強した外国企業規制法(現在は外国人事業法)が外国企業のタイ進出に「ブレーキ」をかける法律だったのに対し、投資奨励法は「アクセル」を踏む関係にあります。この2つの関係ですが、実は外国人事業法が「このような事業を外国人がやってはいけない」と定義している事業を、投資奨励法が奨励している場合、投資奨励法を優先する関係にあります。
ミィ:おお! 投資奨励法の方が強いんですね。
長谷場:はい、外国人事業法の管轄は商務省の事業開発局ですが、投資奨励法の管轄はBOIです。一時期を除いてBOIが首相府の直轄とされてきているのも、そういった理由からだと思います。
ミィ:政府の後押しですね。
長谷場:この1972年の投資奨励法ですが、面白いことがいくつか書かれています。例えば、①奨励企業を国有化しない、②奨励企業と競合する国営企業を新たに設置しない、③奨励企業の保護が必要な場合、BOIは外国製品に対して50%を超えない範囲で課徴金を設定できる。これが十分ではない場合、同種製品の輸入を禁止できる。という条項があります。
ミィ:アレ? ①、②は1959年の布告で書かれていたことですよね?
長谷場:時もまだそういった懸念があったみたいで、そのためにあえて法律に明記したようですね。実は、この法律はこの後に何度か改定されているのですが、最新の2017年版の投資奨励法でもこれらの文言は残っているんです。
ミィ:企業は国にでてこられたら敵いませんからね。心配しなくて良いと。
長谷場:それにしても、BOIが奨励する企業を守ります! という姿勢が強く打ち出されていますよね。
ミィ:本当ですね。輸入を禁止してでもBOIが奨励している企業を守ります、って。
長谷場:ただ、投資奨励の1回目で勉強したように、「BOIの投資奨励制度は外国企業にだけ適用されるのではなく、タイ企業に対しても同様に適用されている」ということに注意が必要です。要するに、これらの条項はタイに投資した日本企業を守るというより、当時はタイ企業を守るためだった、と考えた方が正確ではないかと思います。
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