ミャンマーと蜜月関係へ?

“アジア最後のフロンティア”を訪れたタイ官民連合の成果

 

タイがミャンマーとの距離を縮めている。タイのソムキット副首相(経済担当)は2月2~5日の日程で、ミャンマーを訪問。ティン・チョー大統領とアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談し、経済協力関係を強め、ラオスやベトナムからタイ、ミャンマーを通りインドまで続く、経済回廊の整備の必要性で一致したという。同副首相を筆頭とする訪問団には、経済3団体(タイ商工会議所、銀行協会、工業連盟)の代表や、PTT(タイ石油公社)、CP、バンコック銀行、アマタ・コーポレーション、建設大手イタリアンタイ・デベロップメント(イタルタイ)、小売り大手セントラル百貨店グループなど大手企業14社のトップらが同行。会談後、ソムキット副首相は「両国間で、これほど経済関係を深めたことはない。激動する世界経済の中で、ASEANの国同士が協力し、共に成長していく必要がある」と成果をアピールした。
また、同副首相はミャンマーと日本が共同で開発するティラワ工業団地を引き合いに、「現在、ティラワ経済特区内には13のタイ企業が進出している。タイ政府としては、近い将来、タイ主導による工業団地の開発を後押ししたい」とした上で、同国間の貿易や将来の工業団地開発にも不可欠な物流(運輸)インフラ整備について、「両国で委員会を設置する。現在の両国間の貿易額は約2000億バーツだが、5年後には倍になるだろう」と予想した。
民間レベルでの交流も進んだ。訪問中、タイ投資委員会(BOI)は、タイから同行した100人以上の起業家や経営層らとのビジネス商談会を開催。タイ側が、ミャンマーの中小企業や製造産業の成長支援などを約束した。その他、両国は漁業協力と海外送金に関する覚書(MOU)を結び、タイで働くミャンマー人労働者の自国への送金手法を緩和。観光面でも、タイ・チェンマイ〜ミャンマー・マンダレーとタイ・プーケット〜ラノーン〜ミャンマー・ベイ間での観光促進を図る。
成果は、早速出始めている。イタルタイは、遅々とするミャンマーのダウェイ開発事業の再開準備を整え、両国の政府間協議で合意されれば、事業を再開するという。世界が競って進出する“アジア最後のフロンティア”を目指し、タイも本気で動き出した。

 

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