滞在期間(ビザ期間)1年から10年に延長。月収10万B
一般財団法人のロングステイ財団の発表によれば、タイは、海外で長期滞在したい国・地域としてマレーシアに次ぐ第2位だそうだ。
それを受けてではないが、タイ政府は11月22日、長期滞在(リタイアメント)ビザの有効期間を現行の1年から最長10年(当初は5年。その後1万バーツを支払い5年の延長が可能)に延長するなどの新基準を発表した。
一見、規制緩和ともとれる措置だが、今後、同ビザを申請する人にとっては、自身の懐事情を改めて照らし合わせる必要がある。具体的には、適用年齢を現行の50歳以上はそのままに、預金額を現行80万バーツから300万バーツに、最低収入も同月収6万5000バーツから10万バーツに引き上げられた。仮に為替を1バーツ3円とすれば、新基準による最低月収は30万円となる。預金期間は、同3ヵ月から1年となった。
ちなみに、日本の厚生労働省が昨年12月に発表した「平成26年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、日本人の年金支給額は、国民年金が平均月額約5万4000円で、厚生年金は男性約16万5000円だった。夫婦二人(サラリーマンとして働いた夫と専業主婦)で想定すると、夫(厚生年金)と妻(国民年金)を合わせ月に手にする年金は約22万円。つまり、新基準に当てはめると平均サラリーマン家庭(夫婦2人)では、副収入がない限りタイでの長期滞在ビザの基準を満たせない。
それでも、ロングステイ者に人気のチェンマイでは、日本人の購買力を見込み、煩雑な手続きの窓口を一本化するワンストップサービスを実施し、長期滞在者の誘致を強化するという。少し古いが、2014年の調査(外務省)では、チェンマイ領事館に届け出ている邦人数は約3800人で、そのうち約1800人が60歳以上の高齢者だ。
潤沢な退職金、企業・厚生年金を受けている団塊の世代は、年に1度のビザ更新もなくなる新基準は喜ばしいだろう。ただ、今後50代を迎える団塊ジュニア世代にとっては、単にハードルが高まったと感じ、この先、タイを長期滞在の地として決める人が増えるかは不透明だ。
※記事に関しては、2016年11月22日のタイ暫定政府の閣議承認を受けての情報となっており、実施時期については未定です。