“死人に口なし”。元僧侶が販売していたのは、
乳児(死産後)の遺体で作った幸運のお守り!?
“乳児の遺体で作ったお守りを販売”。耳を疑うニュースが舞い込んだ。
2015年3月、チェンマイ警察に、「シャルーム(31)という僧侶が乳児の死体からお守りを作り、外国人に販売している」との通報が入り、同署は軍と協力して捜査を開始。すでに女性との性行為(戒律違反)を理由に還俗させられていたシャルーム元僧侶の行方を追った。その後、同元僧侶が在籍していた寺の敷地内に、4人の乳児の死体が埋まっている可能性があるとの情報を得たものの、具体的な場所の特定には及ばず、日数だけが経過。
事態が急転したのは、4月3日。元僧侶が、突如、チェンマイ警察に出頭。警察の調べに対し、「県内の葬儀屋から遺体を購入し、霊的な儀式を終えた後に埋めた」と自供しはじめたのだ。警察は元僧侶が指差す場所から棺を掘り起こし、中から乳児の遺体を発見。検視の結果、乳児は死産のため、元僧侶に法的責任はないことが確定したという。
警察は、元僧侶の「遺体は県内で葬儀屋を営むブン(70)という女性から1体3000バーツで購入した」との供述から、この女性を同県内で発見。夫(58)と葬儀屋を営んでいることを突き止めた。しかし、2人は取り調べに対し、「シャルーム元僧侶とは面識もない」と遺体売買については、完全に否認。警察は、十分な証拠をつかめず、2人を無許可で遺体を火葬していた罪で逮捕するだけとなった。
さて、ここまでは、タイのニュース報道によるもの。あるタイ文化に詳しい識者はこう語る。「乳児の遺体から作ったお守りは『ルーククローグ』と言われ、乳児の魂がお守りに憑依し、持ち主に幸運をもたらすと信じられています」。同識者によれば、死体で作られたお守りは、中国、台湾、シンガポールなど中華系の間で人気が高く、お守りを作るため死体の一部を切断し、持ち去る不届き者もいるという。
今回の捜査でも、シャルーム元僧侶以外に、怪しげな儀式を行う霊術者の名前が複数挙がり、いずれも死体売買に関与している疑いが持たれたが、そこは、死人に口なし、警察は裏付けを取れず、立件を断念。文化・風習の違いはあるのかもしれないが、なんとも後味の悪い騒動だった。