借金を繰り返すタイの児童養護施設

貧困児童や障がい児を保護する施設がFBで閉鎖を発表
ヤミ金から借金を繰り返し、慢性的に資金繰りで困っていた

1980年に設立された、バンコク都内の児童養護施設「バーンクーノーイ」(ノーイ先生の家という意味)が、資金不足を理由に閉鎖すると、フェイスブックを通じて発表された。

35年前、同施設を設立したのは、“ノーイ先生”ことヌアンノーイ・ティムグンさん。バンコク都内の貧困児童や障がい児などを世話する同施設は、寄付金を受けながら運営してきたものの、資金繰りに困り、ついにはヤミ金から数百万バーツの借金を背負って、閉鎖の危機に陥った。

実は同施設が資金繰りに困ったことは、今回が初めてではない。2010年、ノーイ先生は1000万Bの借金を抱え、施設の閉鎖を発表。国家警察庁報道担当のポンパット・ポンチャルーン大将が貸金業者20人との交渉役を引き受け、1000万Bの借金を300万Bにまで減額させ、残りの借金も寄付金によって完済した。しかし、5年が経ち、再び浮上した今回の借金問題。世間では「2010年と同じことを繰り返しているのでは?」と批判の声もあがった。

また、追い打ちをかけるように、“タイの2ちゃんねる”ことパンティップでは、同施設の200万バーツの使途不明金を指摘され、「もっとあるはずだろう」とノーイ先生に説明を求めた。

ノーイ先生は「私の子どもに車を買ったり、土地を買ったなどと言われましたが、それらは事実ではない。家は現在、抵当に入れているし、売ろうかと考えています。(自分の)子どもからはもう閉鎖した方がいいと言われました。でも、もし閉鎖してしまったら、65人の子どもたちはどうすればいいの? 少なくとも、あと3年は続けたい」と話している。

7月22日、社会開発・人間安全保障省の職員が同施設を訪れ、公的な施設に子どもたちを預けることを提案したが、ノーイ先生は「自分の方法で子どもたちを助けていく」と、これを拒否した。

結局、2010年に同施設を救済した前述のポンパット大将が再び出てきて、「もうヤミ金からは借りないこと」を条件に借金を肩代わりし、借金問題はひとまず落ち着いた格好となった。

もし、同施設が再び借金で困るようなことがあれば、今度こそ“天の助け”はないというのが、大方の見方らしい。

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