タイ南部12県に広がる大雨による被害。観光地の影響限定的
タイ南部で豪雨による洪水被害が拡大している。内務省災害防止軽減局の発表によれば、1月1日〜10日までに25人が死亡、110万人強(約40万戸)が浸水などの被害を受けた。タイ水文・農業情報機構(HAII)は、モンスーンによる大雨で、タイ南部12県で洪水が起きたとした。最も大きな被害を受けたナコーンシータマラート県では、空港の滑走路が水没し、6日以降、閉鎖されている(取材時は13日午後6時再開予定)。また、プラチュワップキーリーカン県では、タイ中部と南部を結ぶ幹線道路に架かる橋が崩壊。さらには、鉄道網が寸断され、近隣住民の生活のほか、マレーシアとタイを結ぶ鉄道やトラック物流にも影響を及ぼしているという。
ただ、懸念されたプーケットやクラビーなどのアンダマン海側の観光地については、被害は軽微で、ほぼ通常通り。深刻なのは、農業関連で、農業・協同組合省によると、今回の豪雨と洪水で40万人以上の農業生産者及び約100万ライ(1ライ=1600㎡)の農地が被害を受けた。さらに、教育省の発表では、約2000ヵ所の学校で浸水などの被害があり、復旧には約7億6800万バーツかかる。
報告を受けた、プラユット暫定首相は6日、ナラーティワート県に入り、被害状況や軍隊による救助活動の様子を視察した。その後、政府は南部洪水被害への支援策を発表。被災者に寄付した個人や法人に対し、贈呈額の1・5倍まで課税所得から控除できる税制上の特典を決定。ただし、個人が控除できる金額は年収の10%、法人は純利益の2%を上限とした。一方、タイ商工会議所のイッサラ会頭は洪水による経済的打撃について「洪水被害に遭われたすべての人達にお見舞いを申し上げる」とした上で、「国家規模での経済への影響はない。南部の消費行動も、1ヵ月ほどで回復するだろう」と予測した。
バンコクに住む外国人にとって、観光地以外での南部のイメージは薄いし、経済的な影響は限定的という報道に胸を撫で下ろす人もいるだろう。とはいえ、多くの方々が被害を受けたのは事実。甚大な洪水被害に見舞われた南部の人々に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。