8月29日の容疑者逮捕から一気に捜査が進む。
しかし、背景については謎のまま……
タイを震撼させたバンコク連続爆発事件が急展開し、解決に向かっている。29日、警察はバンコク都内のムスリム居住区であるノーンチョーク区で事件に関与していたとされる男性、ビラー・ムーハンマット容疑者の身柄を拘束。男が住むアパートからは爆発物に使う材料や大量の偽造パスポートが見つかった。警察によると、容疑者はトルコの偽造パスポートを使って、ベトナム、ラオスに行き、タイの国境では職員に1万8000バーツの賄賂を渡して入国。タイに来た理由について「ウイグル族を近隣諸国に搬送する手伝いをしていた」などと供述したが、事件については関与を否定した。
8月30日、警察はビラー容疑者が住んでいた近隣のアパートから大量の爆発物の材料を発見する。部屋を借りていたのは、トルコ人の夫を持つタイ人女性だった。現在はトルコ在住で、AFP通信のインタビューに応えた女性は「夫の友人のために部屋を借りてあげたが、彼らが何をしていたのかはわからない」と事件との関連性を否認した。
そして9月1日、事態はさらに急展開する。警察はエラワン廟に爆発物を置いていった黄色いTシャツを着た実行犯とされる男性の身柄を拘束。サケーオ県のアランヤプラテート国境をカンボジア方面に歩いていたところを逮捕した。容疑者の名前はミラルリー・ユースーフー(26)。押収物からは爆弾を作るための化学式が書かれていた紙が見つかったものの、DNA検査の結果では爆破の実行犯ではないことが判明した。彼もまた事件への関与を否定したが、ビラー容疑者の押収物に付着した指紋と男の指紋が一致したため、警察は爆発物の製造者だとみている。容疑者は、新疆ウイグル自治区出身と記された中国旅券を所持し、警察は本物かどうかを確認中とのこと。
現在、裁判所は8人の逮捕状を発行し、警察は10人以上の協力者がいるとして捜査を続けている。当初は後手後手と批判された事件は、一気に収束に向かっているものの、未だ容疑者らの動機については明らかになっていない。ウイグル族の強制送還に対する反政府テロか、南部テロなのか、それとも……。一刻も早い真相解明を望みたい。