低迷する経済復活を目的に、中小企業と一般市民、
外国人も恩恵を受ける年始のお年玉
2015年早々から政府主導の下、20の省庁が協力し、「国民に幸せを取り戻す」キャンペーンが開始される。
2014年、政情不安により、景気は大きく落ち込んだ。それを立て直すため、タイ軍政は中小企業の活動支援、経済促進を目的として、同キャンペーンを実施する。ちなみに「国民に幸せを取り戻す」というネーミングは、毎週金曜日に放送されているプラユット暫定首相が出演するテレビ番組に由来している。
政策の中身は下記の6つ。
①中小企業の法人税減税。売上30万バーツ以下は免除、30〜300万バーツは15%、300万バーツ以上は20%となる。しかし、これにより税収は10億バーツ減収する。
②中小企業を支援するベンチャーキャピタルの設立。予算は500億バーツ。
③財務省への会社登記の徹底。政府が管理することで、より円滑に企業を支援できるというもの。
④ローン会社「ナノファイナンス」の設立。これはいわば「生活福祉資金貸付制度」であり、闇金業者の高い利子で苦しむ一般市民の救済が狙い。闇金業者の利子は年利最大60%ともいわれており、ナノファイナンスは年利最大36%に設定する。
⑤生活保護金の支給。年収3万〜8万バーツが対象者となり、年収1万〜3万バーツは年収の20%、4万〜8万バーツは12%を受け取ることができる。
⑥シンガポールで導入されているIHQ(International Headquarters)や国際貿易促進のためのITC(International Trade Company)などの外国投資優遇策。BOIと似た制度で、しかるべき条件を満たし、政府に申請して認可されれば、法人税や所得税の減税、ビザの延長などを恩典として受けることが可能となる。
企業支援である一方で、闇金業者の撲滅であり、企業を管理したいという政治意図も見え隠れするが、暫定首相自らが出演する番組のタイトルを政策名につけるあたりからも本気度がうかがえる。また、暫定首相は「外国人事業法を改正しない」と断言したことから、現在も海外からの投資を歓迎しているのは紛れもない事実。“タイ国民の幸せ”とともに、日本人も恩恵を受けられれば幸いである。