判決翌日、自らの番組で報道。暴かれた贈賄劇の代償は懲役13年4ヵ月
日本でも、2016年早々からベッキーの不倫疑惑騒動や、甘利明・前経済再生相と秘書の金銭授受疑惑など、大物のスキャンダルが続出し、列島を震撼させたが、タイでも“大物”キャスターの贈賄スキャンダルが世間を賑わせている。
去る2月29日、タイの朝と夜の顔(チャンネル3のニュースキャスター)であるソラユット・スタサナジンダー被告が贈賄などに問われた裁判で、懲役13年4ヵ月の実刑判決を受けた。
判決によると、被告はチャンネル9時代(2005〜06年)に、規定外の時間にCMを流した場合はテレビ局側に番組広告料の一部を払う契約を自身の会社を通して交わしていたが、被告は規定外で流した分を局側に報告せず、1億バーツ以上の不正利益を得ていたという。さらに、この事実を隠すため、同局員に約70万バーツの賄賂を払っていたとされる。結局、数年後に悪行がバレて表沙汰になると、利息を含む1億3800万バーツを支払い、事なき(民事)を得ようと画策したが、同チャンネルは政府が一部出資する半官半民。泣く子も黙る国家汚職追放委員会へ報告され、あえなく撃沈と相成った。
ところが、判決翌日(1日)の朝(チャンネル3)のニュースに何食わぬ顔で登場。トップで、自身のニュースを報道し、世間をあっと言わせてみせたのだ。
さすがの行動に、視聴者からは「局は有罪判決を受けた人間をなぜ起用するのか」と批判が殺到。大物キャスターだけに、話題は政界にまで波及し、プラユット暫定首相も「コンプライアンスを遵守しなければならない」と異例のコメントを発表した。
当然、スキャンダル発生後は日本同様に、CMをキャスティングしていた企業の同氏起用に対する自粛ムードが高まる。タイ通信大手のdtacや消費財大手のサハ・グループはこぞって「ソラユット氏との広告契約を打ち切った」と発表。広告業界に、さながら“ソラユットショック”を引き起こした。
判決後、ソラユット氏は自身のインスタグラムに「キャスターを引退する」と宣言。今回の判決については不服とし、控訴するという。国民的キャスターのスキャンダル劇の幕引きは、もう少し先になりそうだ。