増加するタイ警察官の借金と自殺者

例え返済が滞っても共済組合から何度も借金が可能
破産寸前の警察官を助けるために19億Bを投入する

警察官による借金が深刻な問題を引き起こしている。タイ第4管区地方警察(東北部の北部エリア12県)で、借金によって破産した警察官5人が退職させられ、100人が退職寸前、1200人が貧窮しているという。問題となっているのはそれだけではなく、金に困った果てに自殺者が増加しているという点だ。

8月7日、第4管区地方警察のブンラート中将は、警察官が借金によって辞職、さらに自殺に至る問題について言及した。それによるとタイでは警察官の自殺者は年間平均29人で、主に役職の低い下士官が多い。そして、同管区の職員2万1000人のうち、1万2000人がタイ政府貯蓄銀行から借金をしているという。破産寸前と言われる警察官はすでに600人おり、なかには上級士官も。一人あたりの借金の金額は、20万バーツ〜200万バーツなどまちまちで、同管区の警察官の借金総額は、90億バーツにまで膨れ上がっていた。

事態を重くみた同管区は、債権者であるタイ貯蓄銀行と話し合いを設け、1100人の借金返済のために9億バーツを支払い、さらに1200人のために10億バーツを投入する。しかし、前述した600人については、すでに破産手続きが進んでいるため、自力で返済するしかないという。

警察庁長官のソムヨット・プンパンムアン大将は「警察官の借金は以前から問題だった」と語り、根本的な解決が必要であると強調。日本同様、タイでも公務員は社会的信用度が高いため、借金をしやすく、多重債務に陥りやすい。共済組合から借金するのは容易なため、返済が滞ったままでもさらに借りることが可能。悪循環を繰り返すことで、簡単に多重債務者ができあがるわけだ。まさに“破滅への道”にほかならない。共済組合では、保証人さえ用意すれば、すぐに金を借りることができるというから、ますます負のサイクルは続いていく。

債権者であるタイ政府貯蓄銀行のシャートシャーイ所長は、警察官一人ひとりと減額交渉に応じると明言したが、根本的な解決ではないことは明らかだろう。

果たしてこれは警察だけの問題なのだろうか? ほかの公務員は一体どうなっているのか? 考えると恐ろしい気もする。

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