ここ数年、世界的に人気のクラフトビール。 しかし、タイには大きな壁があった
22日、タイ中部ノンタブリー県ラタナーティベート署は、無免許、無許可でクラフトビールを製造した疑いで、同県ムアン郡在住の男性、タオピポッブ容疑者(28)を逮捕した。容疑を認め、罰金5200バーツと執行猶予一年の判決が言い渡された。
同容疑者は、「クラフトビールを飲んで、ビールの本当の美味しさに気づいてほしい。
海外のように小規模なクラフトビール工場も容易に製造・販売ができるようになれば、タイ産の地位が一層上がり、国の経済を潤すことができる。
特に地域住民によるクラフトビールは、地方活性化にもつながるはずだ」と主張した。
これをきっかけに、タイ国内でビールをめぐる論争が起きている。
日本同様、タイでも酒類を製造・販売するためには酒類製造免許を保持しなければならず、酒税法のような「1950年アルコール飲料法」という法律も定められている。
申請は、タイ王国の法律に従った登記を行っている株式会社のみ。
資本金は1000万バーツ以上、株主の51%以上はタイ国籍でなければならない。
製造・販売にあたっては、年間10万リッター以上、100万リッター未満のビール製造が課せられており、大手ビール会社のみにしか適用されない基準だ。
このような背景により、タイのビール市場は大手老舗ビールメーカーに独占されている。
タイのビール財閥大手、ブンロート・ブリュワリー社のピティ供給連鎖管理取締役は、「地方経済成長の発展、そして、より高品質なクラフトビールの製造・販売が行えるよう法修正を実施すべきだ」とコメントを発表。
これに対し、物品税局のソムチャーイ局長は、「法修正の検討をはじめ、修正は早急に実施することはできない」と難意を示した。
世界的にみても、大量生産・大量消費の時代から、若い世代を中心に、多品種少量生産・個性的消費へと価値観が変わりつつある。
さらにここ数年、若者が地方活性化に力を注ぐのが目立っている。
タイの若者も同様、自国のものを世界に発信したいという自発的な行動が数多く見受けられる。
これを機に法が暖和され、ますますタイ産のクラフトビールを飲める機会が増えることを期待したい。