とある人物が無料で配布している漢方薬。 化学療法よりも、がん治療に効果があると大きな話題に
「私は医師ではありません。病気で絶望の淵に立っている人に、希望を与えたいだけなのです」と語る“セーン先生”ことセンチャイ・へアラートトラグーン氏。
同氏が調合する漢方薬が、がん胎児性抗原(CEA)の値を下げるという噂が広まり、毎月の無料配布の日には同氏の自宅に数千人のがん患者が列をなす。
同氏の現職は東部プラーチーンブリー県のタイ地方電力公社主事で、漢方薬を作り続けて12年。
きっかけは、娘の脳に腫瘍ができたことだったという。
薬はサルトリイバラ、ドブクリョウ、冬虫草夏、ツバメの巣を調合したものを半年寝かせ、さらに米ぬかを混ぜ込んだもの。
1㎏約200万バーツにのぼる高価な材料もあるが、とあるがん患者からの資金提供により配布が継続できているという。
薬を受け取った人の中には、症状が改善した人もいる一方で服用の甲斐なく亡くなった人もおり、効果のほどは定かではない。
あまりの人気ぶりに、保健省プラーチーンブリー県事務局が昨年10月に成分検査を行ったが、結果は有害物質が含まれていないという事実のみで、何が効力を発揮しているのかは謎のままだ。
そしてタイ保健省は今月7日、同氏を「民俗療法士」として承認すると発表。
タイがん協会は医療機関での受診も呼びかけているが、医療費の支払い能力の有無に関わらず、どのような人でも分け隔てなく入手できる“奇跡の薬”はますます注目を集めることになりそうだ。