タイで暮らす中で、タイ人と関わり合い、親交を深める機会は
どれくらいあるでしょう。そんな交流の場をも生み出す、日本人会同好会
「タイを知る会」。現在のキーパーソンとなる2人を訪ねました。
1989年に設立され、来年で30周年を迎える「タイを知る会」では、講演やイベントを通して、タイの文化・心に触れることができると、協力会員の山川さんと現代表の安田さんは口を揃えます。タイに見識の深い日本人はもちろんのこと、タイ王国元日本留学生協会(OJSAT)の会長プッサディーさんをはじめとしたタイ人講師による講演会、大人の遠足「見て歩き会」、月に2回開かれる「企画会議」など、さまざまな活動を経て、本当のタイの姿が見えてくるのだそう。
設立直前に来タイした山川さんは、数少ない初期メンバー。「右も左も分からずの頃、勇気を出して参加したのを覚えています。タイの国を“知ろうとする”姿勢が大変魅力的でした」と目を輝かせます。プッサディーさんの紹介から多くのタイ人と繋がりができ、迎賓館や王宮関係の建物など特別な場所に招待してもらったり、タイで活躍する元日本留学生による講演やタイ伝統操り人形劇団を招いたり。最近では、公開前のMRTブルーライン駅構内やチャオプラヤー川の下を通るトンネルを案内してもらったと言い、“知る範囲”はどんどん広がっています。
そうして山川さんが気づいたのは、裏表のないタイ人の“本当のおもてなし”。「見返りを求めずガイド役を買って出てくれたり、自宅へ招待してくれるなど、心が豊かですてきな方々。肩書きではなく、私たち自身を見てくれる。彼らを通して、タイの人たちを見る目や価値観が変わりました。その恩返しとして、タイに住まわせてもらっている私たちが協力できることはしたいですし、後輩にはタイの人たちの心を伝えていきたいですね」。そう、感謝を込めながら振り返ります。
たくさんの“先生”のおかげで
タイを見る目が変わった
その話を、「うんうん」と相づちを打ちながら聞いていた安田さんが入会したのは、1年前。来タイしたばかりで知り合いもおらず、友人づくりの一環として参加を決めました。「初めて見学に訪れたのはミーティングの場。
日本人会館で会員募集の貼り紙を見つけたんですが、それがいろいろな場所を訪ねられる遠足のようで。私も連れて行ってもらいたいという勢いで参加したんですが、実際にはメンバーみんなで行程を考え、アポイントをとってバスを手配するなど、しっかりとした準備があって驚きました」と笑います。今では、タイの“内側”をもっと知りたいという想いが強まっているのだそう。
「タイを知る会」の特徴は、メンバー全員が“主体”であること。お客さんとしてどこかに連れて行ってもらう、何かを教えてもらうのではなく、ミーティングでそれぞれがやりたいことを言葉にし、実行するために必要な作業や手続きなどを自分たちで計画・運営していきます。
「自分の興味があることや場所について知ることができますし、一人では行けないような場所を訪ねることができる。実現するまでの準備を含め、密度が濃く、楽しい時間だと感じます」と、安田さんはその充実ぶりを口にします。
その歴史を紡ぐように、「タイを知る会」では隔月の議事録をもとに、10年毎に会報を発行。タイの行事やタイ料理のレシピ、過去の訪問先や講演会の記録、タイについての想いが綴られています。「一人でも多くの人に“タイに来て良かった”と思ってほしい」(山川さん)。来年には30年誌が出来上がります。「タイを知る会」を通して、新たなタイに触れませんか?
創立30周年企画として5月に開催された「タイ伝統操り人形劇公演」は、満員御礼の賑わいでした
PROFILE
山川 喜美代
Kimiyo Yamakawa
1945年、埼玉県生まれ。「タイを知る会」協力会員。1988年来タイ。暑いタイ、原色の花、元気なタイが大好き
PROFILE
安田 さゆり
Sayuri Yasuda
大阪府生まれ。タイを知る会・代表。2017年来タイ。バンコクの美しい夜景が見える場所がお気に入り
タイを知る会
来年で30周年!お気軽にご参加ください
第1・3金曜9:30〜11:30、日本人会別館にて活動しています。その他、隔月で講演会や見聞会、年4〜6回は外での「見て歩き会」を開催。まずは一度、見学にどうぞ。
[問い合わせ]
Address:日本人会別館(スクンビット・ソイ39)
Website:www.jat.or.th/?page_id=877
Email: thaishiru@yahoo.co.jp
編集部より
「知ろうとすると云うのはチャレンジだ」。これは、10周年記念の会報誌に記されていた言葉。まさに、タイを知る会の姿勢を表していると感じました。私も新たなタイに出逢いに、参加したいです