若者に人気のアメリカ発の違法ゲーム
マスコミや政府まで巻き込んだ議論に
11日、ウドーンターニー県の13歳〜17歳の若者が窃盗罪と傷害罪で逮捕された。驚くべきは、行動のきっかけがアメリカの「グランド・セフト・オート」(GTA)というゲームのまねだったことだ。GTAは自動車窃盗罪を意味する言葉で、車を盗んで乗り回すほか、銃撃戦など、あらゆる犯罪行為を行うゲーム。
11日午前1時半ごろ、外国人観光客が若者グループに窃盗されたうえ、暴力を振るわれたとの通報を警察が受けた。警官が現場に駆けつけると、暴力を振るわれた67歳のイギリス人被害者を発見。被害者は、友人と食事し、ホテルに戻る途中、ヘルメットで頭を何回も殴打され、さらに窃盗にあったと話した。
警察は18歳未満の若者5人を逮捕した。容疑者たちは今回で6度目の犯行だと自供。GTAの主人公のまねをしたくて実行したと供述した。グループのメンバーが借りている部屋で、みんなで一緒にゲームをよくしていた。彼らの親はそのことを把握していなかった。
12日、チャンネル8のニュース番組は事件を報道した。アナウンサーは「GTAはアメリカで禁止されている。警察がネットカフェを捜査するべき。同ゲームの設置は違法で、GTAを見つけたネットカフェに法的措置をとらないといけない。家庭で子どもがGTAをやるなら、ゲームを燃やせ」と話した。ニュースが放送された後、SNSでは内容について間違いだらけだと批判が殺到。①GTAは年齢制限があるが米国で禁止されていない。②タイではGTAは販売禁止。だが違法なダウンロード販売で入手するので、ゲームを燃やすとしたらコンピューターを燃やさないといけない、といった意見が噴出。チャンネル8は誤りを認め、視聴者に謝罪した。
15日にはゲームを管轄する文化省の官僚が「ゲームに罪はない。親がちゃんと自分の子どもの面倒を見ているか、無視しているか、それが問題なのだ」とコメントした。
違法ゲームの取り締まりはネットの普及もあり、事実上不可能だろう。法で取り締まるだけではなく、親や社会による子どもに対する〝見守り〞こそが少年犯罪を防ぐ一番の方法だ。