崩御から1年

国父と慕われる、プミポン前国王の崩御から1年。

 


2016年10月13日15時52分、ラマ9世崩御―。同日夜19時に放送されたプラユット暫定首相の緊急演説で、タイ国内は悲しみに打ちひしがれた。14年に受けた胆のう摘出手術以降入退院を繰り返し、15年12月以来、一切公の場に姿を現していなかった。国家の君主として、70年に渡り国を安定に導いてきたのと同時に、世界で最も長く在位した君主として知られ、今もなお、国民から絶大な支持と尊敬の念を集めている。偉大な功績を残した前国王。この1年を振り返る。

崩御翌日、収容先の病院から王宮に運ばれる前国王をひと目見ようと、王宮周辺に集まった国民が涙を流していた光景は世界各国で放送され、前国王の存在が国民にとっていかに重要であったかを思い知らされた。国民同様、後継者として1972年に指命されたラマ10世(当時皇太子)も前国王への追悼の意が強く、崩御直後の即位式を拒まれたが、昨年12月1日に即位。今年3月5日、前国王の弔問のため来タイされた天皇陛下ご夫妻のご訪問は、新国王にとっての初の国賓となったこともあり、タイメディアで一斉に報じられた。

また、国の発展のため、農村開発や灌漑整備、少数民族支援などの王室プロジェクトを展開し、国内の地方巡幸や病院慰問などを通じて、積極的に国民と交流された前国王。時には政治混乱に直接介入し事態を収拾、絶対的な権威を国内外に示した姿は海外でも讃えられていた。崩御から2週間後の昨年10月28日には、ピーター・トムソン国連総会議長を筆頭に、前国王の偉業を讃える特別総会を開催。また、先月26日に開催された国際世界平和デー2017では、イリナ・ボコヴァUNESCO事務局長が、「ラマ9世の“足るを知る経済”を手本として、各国のメンバーは15年後の自国の開発計画を進めてほしい」と発表したほど。

プラウィット副首相は今月26日の火葬式を控え、当日は王宮前広場のみでも約25万人の国民が詰めかけるのを見込み、7万人の警備員を配置すると発表。前国王は、永遠に国民の胸の中に生き続けるだろう。

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