長らく日本人に愛されていたスクンビット・ソイ38の屋台がまもなく移転する。
(記事に関してはこちらから>また一つタイの原風景が消える。ソイ38の屋台街が撤去)
バンコク都が下した期日は6月21日(店舗側は2016年2月)。店主たちはバンコク都に移転の中止や期限の延長を訴える書簡を送ったが、「クロントゥーイ区の管轄なので知らない」と一蹴され、クロントゥーイ区からも明確な返事はないという。わずかとなった期限を前に、移転先が決まらず、いまだ先が見えない店主たちに現在の心境を聞いた。
(※屋台側の1・2・3・4は6月21日移転、店舗側の5・6・7は来年2月に移転)
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1.カオ・カームー
今年でもう22年。1ヵ月以内に移動しろと言われてびっくりしたわ。短い期間で移転するなんて考えたこともなかった。世界中からいろいろな人が来て、タイ料理の屋台街として有名なのよ。タイの魅力も伝えられなくなるわね。移転先はまだ決まっていない。都や区からの提案もないし。もっと時間があるなら、場所も決めることができるだろうけど……。
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2.クラポプラー・ナムデーン
30年以上、ここで営業してきた。バンコク都の決定には、納得していない。年末まで延長してほしいと、クロントゥーイ区に頼んだが、返事はまだもらっていない。移転先はまだ決まっていないが、店舗側にあるコンドミニアムの下の駐車場に移動するかもしれない。日本人のお客さんは、いつも食べにきてくれて本当に感謝したい。移転しても来てほしい。
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3.クイチャップ
1980年にオープンして、今年でもう35年。急に「ここから出てってほしい」と言われて、驚いたわ。警察と軍隊からは「店が道路にはみ出してるから、通行の邪魔だ」と言われた。移転先はまだ決まってないし、考えてもいないわよ。とにかくまだ数日あるので、日本人のお客さんに食べにきてほしいわね。
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4.バミーギアオ
ここに来てから、もう30年。6月21日までに移動しなさいと言われて、とても悲しかった。交通の邪魔にならないよう、歩道の上に移動して営業を続けたいと区にお願いしたけど、向こうからは返答がないので、まだわからないわ。これまで数えきれないほどの日本人が来店してくれました。本当にありがとう。
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5.かき氷&ジュース
ここで営業を始めてから、そろそろ30年になるわ。ただ、自分は店舗側なので、移転はまだないけどお客さんは減るでしょうから、厳しくなるわね。日本人はかき氷をよく注文してくれた。私はどこにも移転するつもりはないので、これからも来てくれるとうれしいわ。
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6.クイティアウ・ミートボール
営業から約30年間。今のオーナーは、先代の孫だから、ここの土地が売られることになったのも時代の流れ。我々は納得するしかない。オーナーはここを売って数千万バーツを手にするでしょうね。それに比べたら、我々が得られるお金は少ないわ。新しい場所に移転しても、お客さんがすぐにつくわけではないし、厳しくなるでしょう。ウチのお店は結構有名なんだけど(笑)。30年間サポートしてくれてありがとう。
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7.ムーサテ
父親の代から数えて、30年間以上、営業しているわ。オーナーから来年2月末までと言われたときは、仕方ないと思ったわ。新しい場所のオファーをもらったけど、まだ決められないわ。あと8ヵ月しかないので、日本人の方たちに食べにきてもらえたらうれしいわ。
区の職員は6月21日が期日だと明言
いくつかの屋台は、歩道にテーブルを設置せず、道路に乗り上げることで移転を回避しようとしているものの、6月11日の時点で行政の返答はなかった。6月12日、編集部が電話でクロントゥーイ区に問い合わせたところ、職員は「あくまでも6月21日が期日」と移転期日の延長を否定。また、歩道での運営については「歩行者が歩けるスペースを確保できれば問題はない」と答えたが、現実的に厳しいのは明らかだろう。さらに職員は屋台の後ろに立つ廃墟のオーナー(ある屋台店主は赤十字だと主張)を改めて調べるとし、規制を強める構え。 また、いくつかの屋台は、ソイ38に入ったすぐ右手のコンドミニアム下に移転を考えていると話しており、現状どのような状況になるのかは6月22日になってみないとわからない。