オリンピック最終予選、タイvs日本で起こった“不可解な”ジャッジ。ネットは大炎上
5月18日、バレーボール女子・リオデジャネイロ・オリンピック世界最終予選(東京体育館)で、タイは日本と対戦し、フルセットの末、惜しくも敗れた。そして、最終セットでの審判の“不可解な”ジャッジが物議を醸している。試合後、タイのネットは大炎上。審判を批判するもの、単なる日本への悪口といったものも見かけられた。さらに怒りの矛先は、“エース”木村沙織のインスタグラムにまで及び、英語やタイ語で誹謗・中傷のコメントが3000件以上もついた。
タイ人の怒りは相当で、背景は4年前のロンドン・オリンピック予選まで遡る。本戦での有利な対戦相手を得るため、日本が“負けるはずがない”セルビアに敗れ、タイの出場が消え、当時も大きな話題となった。そして今回、審判の不可解なジャッジにより、4年越しのリベンジも潰え、苦汁をなめたのだ。
試合を追っていくと、タイチームの強さは際立っていた。最終セットは15点マッチで、前半はタイの一方的な展開。一時は6点差まで引き離したが、タイの監督が“チャレンジシステム”(スロー動画の確認)を求め、却下された辺りから雲行きが変わる。タイムアウト後、キャプテンが呼ばれ、遅延行為としてレッドカード。1点が日本に追加され、タイ12―9日本。その後、日本は4連続ポイントの猛追撃により、タイ12―13日本。そして選手交代を告げるタブレットが動作しないとして、タイの監督が抗議。再び審判は遅延行為としてレッドカードを提示し、気がつけば日本のマッチポイント。ホームの勢いを受け、そのまま日本が勝利した。冷静に映像を見ると、“あれよあれよ”とタイが敗れた印象。レッドカードが試合の分かれ目となったのは間違いなく、タイ人が悔しい感情を抱くのは当然だろう。後日、タイは国際バレーボール協会(FIVB)に抗議するも、「試合後1時間以内に訴えなかったため却下」という非情の裁定が下され、FIVBに対して調査を求める署名支援サイトには、現在17万人以上が賛同している。
アウェイチームが不利になるのは、あらゆるスポーツでも同じだが、テクノロジーに頼りすぎた弊害が現出した一件として、後々まで引きずりそうだ。
タイチームは強かった。しかし、勝者の言葉は、敗者にとって大きな慰めにはならない。