“悲願”の潜水艦

潜水艦部隊司令部はあるが保有ゼロ。政府が中国製購入を発表

 

タイ政府は、このほど、中国側と同国製の潜水艦1隻を135億バーツで購入する契約を5月5日に結んだと発表した。だが、先んじて各メディアは、すでに中国との購入話が水面下で決まっていたことをキャッチ。「タイに潜水艦は不要」「公表を隠していた」「タイ湾の水深は浅くて不適合」など、反対論やプロセスの不透明さを批判してきた。


報道に対し、政府広報官は「国家の安全保障上、秘密裏にするのは当然。他国が保有する中でタイだけが(潜水艦を)持たない理由はない」と一蹴。また、国家安全保障担当のプラウィット副首相も、潜水艦購入について「10年以上前から計画はあった。性能、価格、オプションなど時間をかけて、総合的に判断した」と説明する。さらに、海軍のルーチャイ大将は「水深50mのタイ湾でも問題なく性能を発揮できる。それ以上に、支払いは1隻につき、7年17分割、年間21億バーツで済み、2年間のアフターケアや8年間の部品交換など、オプションが多い」とお買い得感をアピール。加えて、商務省のソンティラット副大臣は「潜水艦は、海洋生物資源を調査し、海洋の経済発展にも活用できる」と正当性を示した。


タイの潜水艦購入は、日本を含む海外でも「こっそり購入」や「悲願達成」などの見出しで報道された。中には、タイ海軍の歴史として、第二次世界大戦前に日本から購入した最初で最後の潜水艦(1951年退役)を紹介。以後タイは、潜水艦を保有していないが、購入計画は何度も浮上。2014年には、潜水艦部隊司令部を設立し、当時タイのマスコミから「潜水艦のない潜水艦司令部」と皮肉られた。


まさに、タイ海軍にとって潜水艦保有は「長年の悲願」であり、最終的に中国から潜水艦3隻を計360億バーツで購入する計画だという。国家としての安全保障問題は、外国人である日本人がどうこう言う資格はない。ただ、タイが潜水艦を保有していなかった事実は、意外に知られていない?

 

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