「格安」を謳った日本旅行ツアー。空港は怒号と混乱に包まれた
ソンクラン直前の4月11日夜、架空の日本行き格安ツアーを装った詐欺が発生。同ツアーに申し込んでいたタイ人旅行者1000人以上が、スワンナプーム国際空港で足止めを喰らい、騒ぎとなった。騒動を聞きつけて、観光・スポーツ省のゴブカーン大臣やスワンナプーム国際空港のシロート空港長などが現場に急行。自ら陣頭指揮を執り、被害者の対応にあたった。
警察によると、ツアー主催者は栄養サプリメント等のネットワークビジネス(いわゆるマルチ商法)を行う「Wealth Ever」。登録会員に対し、購入ポイントの特典として「5日間で9730バーツ〜。格安の日本行きツアーに参加できる」と宣伝。約3000人が申し込み、料金を支払っていた。ツアー参加者は空港到着後に事態を知り、現場はパニック。タイの掲示板サイト「パンティップ」には、被害者の親戚がリアルタイムに現場の状況をアップし、1000件以上のコメントが付くなど盛り上がりを見せた。翌12日、警察は主催会社の捜査を開始。同日、同社社長のパシット氏、その恋人で株主でもあるタットダウン氏、社長の母親や親戚、同社社員9名を事件の共犯者として逮捕した。
パシット容疑者は取り調べで、ツアー催行はサプリメントの販促の一環として行ったと供述。昨年12月に第1回目の応募をスタートし、今年2月には40人の会員が実際に大阪を旅行。好評を呼び、高い宣伝効果を得ることができたという。今月5日にも200人規模のツアーを行ったが、今回のツアーは知り合いに手配を頼んだため、詳細は知らないと釈明。だが、詳しく問い詰めたところ、「予約等は一切行わなかった」と自白した。
3000人を超える予約人数であったにも関わらず、同容疑者の口座残金は300万バーツ。これについて関係者は、「前回のツアーでは事前予約をせず、空港で正規航空券を購入した。結果、大幅な赤字となり、今回の入金の一部で補填した」と話している。だが、料金入金後すぐに、同容疑者は高級車やコンドミニアムを購入していたことが判明。「始めから騙すつもりだったのでは」との見方が強く、さらなる捜査が進められている。