タイ警察は近隣諸国との連携を図り、麻薬撲滅に向けた動きを強化 東南アジアを中心に暗躍する麻薬密売組織のボスを逮捕した
先月19日、タイ警察麻薬取締警察本部は、巨大麻薬密売組織のリーダーであるラオス人男性、サイサナ・グエウピムパー容疑者(42)を逮捕した。警察は、数年前よりタイ東北部の麻薬一掃作戦に力を入れており、中国、ラオス、マレーシア、シンガポールとも協力。
サイサナ容疑者の麻薬密売組織の捜査を続けてきた。
同組織は、隣国から覚醒剤を密輸し、タイ国内で売りさばくことで巨大な利益を獲得。
サイサナ容疑者の逮捕当日には、タイ国内にある同組織の関連施設36カ所にも同時に捜査のメスが入り、同容疑者の資産約1億バーツも没収した。
この逮捕劇は、タイだけではなく、ラオスでも大きく取り上げられた。
それというのも、同容疑者は製材業や輸出業を手がけるなど、ラオスでは有名な資産家。
アウディ、ランボルギーニといった高級車を数多く所有し、SNSに政治家の子息やセレブらとの写真をアップするなど、優雅な生活を送っていたのだ。
単なる“事業の成功者”とは思えない生活ぶりに、黒い噂も絶えなかったが、確たる証拠は出ず、今回、タイ警察のお手柄となった。
ふがいないラオス警察に対し、国民の批判が集中。
「国の上層部は、サイサナ容疑者と癒着しているのでは」との疑いの声までも出ているという。
さらに捜査が進むにつれ、サイサナ容疑者のタイのセレブ界との交友関係も明らかになっていった。
人気女性芸能人の夫であるベンツさんもその1人で、逮捕された麻薬組織のメンバーは、「(ベンツさんは)組織の金の管理をしていた」と供述。
これに対し、ベンツさんは、「車を買うのに、組織から金を借りただけ。
麻薬とは関係ない」と否定している。
首領(ドン)であるサイサナ容疑者を含め、タイ人、外国人の計9名が逮捕された今回。
「麻薬犯罪に対する大きな勝利」と評価する一方、タイ警察は、「(サイサナ容疑者の逮捕は)戦いの序章にすぎない」とし、これからも続く麻薬戦争に、決意を新たにした。