東南アジア戦略を加速
MD 橋本 直樹
《プロフィール》
1980年11月27日生まれ、東京都出身。2006年3月1日アパマンショップ入社、浅草店、上野店の店舗責任者を経て2012年4月1日よりアパマンショップタイランドMDとして現在に至る
「タイをヘッドクオーターに、東南アジア戦略を加速させます」
―バンコクは直営店と伺いました
元々あった加盟店から、2007年に直営店として再スタートを切りました。メイン事業は、不動産賃貸の仲介ですが、一部管理業務も請け負っています。ご存知の通り、日系企業の相次ぐタイ進出で、駐在員を中心に在タイ日本人が増えています。おかげ様で、取り扱い物件も増加傾向にあり、今年(10月現在)は前年比107%となっています。―メインターゲットは日本人ですか?
ほぼ100%日本人です。今後もローカル向けに広げることはないでしょう。本当にありがたいくらい、仕事をさせてもらっています。 現在、バンコクのスクンビット界隈でも、コンドミニアムの建設ラッシュが続いています。しかし、すべてを日本人向け物件として紹介できません。部屋が狭かったり、バスタブがないなど、日本人のニーズとミスマッチが生じています。こうした現象は、生活スタイルや文化の違う海外だからこそですね。需要に追いつかず、完全に売り手市場となっているのが、バンコクの住宅事情です。―トレンドとして、現在の状況は来年も続くと?
今後も続くと予想しています。弊社は来年から駐在員を現在の3人から増やす予定です。―アソークに店舗を新設したと聞きました
窓口ではなく、オフィスとしての位置付けです。日系企業の東南アジアシフトが鮮明となるなか、今後、タイを拠点に東南アジアへ事業を拡大していきます。アソークのオフィス開設は、そのための準備です。―海外展開を加速させるのですか?
当社はこれまで、韓国、中国、タイ、マレーシアと4ヵ国に進出しております。特に今年からは、アパマンホールディングスの新たな経営戦略として、東南アジアに集中投資することを決定しました。タイに関しても、東南アジアのヘッドクオーターとしての役割を確立しつつ、新たな事業を開始する予定です。来年以降は、これまでの個人向けの賃貸に加え、オフィス仲介もはじめます。また、これはもう少し先の話になりそうですが、ショッピングモール開発にも携わりたいと考えています。―デベロッパーに業態変化を図るのですか?
正確には、デベロッパーと共同で開発事業に参画するイメージです。つまり、モール開発業者と組んで、テナント業務を請け負うわけです。すでに日本では、福岡のショッピングモールに携わり実績を積んできました。ただ、国内では後発組なので、今以上の拡大は望めません。そこで、ノウハウを海外で生かすという戦略に舵を切ったわけです。具体的なスケジュールは決まっていませんが、2014年中をめどに着手する予定です。―アパマンショップHDの本気度が伺えます
案件や事業計画など、具体的なことはまだ決まっていませんが、会社として投資を拡大させていくことは確かです。まずは、新年度に向けて組織を拡充し、基盤を構築するのが先です。―トップの責任は重いですね
舵取りが難しくなっているのは確かです。トレンドによる需要増はうれしい反面、営業に対するモチベーションを維持するのが大変です。ましてや、忙しいからといって、お客様へのサービスを疎かにはできません。タイ人スタッフには、日頃から日本式のサービスを徹底してはいますが、100%行き届いているとは言い切れません。今後、スタッフが増える中での課題です。―ビジネス手法の違いはありますか?
日本では、賃貸物件を仲介した時点で業務は終了し、後は管理会社に任せるのが通常のフローです。ところが、タイは入居後のアフターサービスも業務に付随するんです。入居後の問題解決から退去時のデポジットの交渉まで、お客様が退去するまでのすべてをフォローする点が、日本との大きな違いですね。 また、タイは貸主と借主の立場が日本とは真逆で、とにかくオーナーの立場が強く、よくトラブルが発生します。一人のお客様のサポートが多岐にわたれば、それだけスタッフの業務負担も大きくなります。―初の海外赴任と聞きましたが
良い意味で、たくさんの経験をさせてもらっています。当然、手探りな部分も多いですが、日本で培ったノウハウが通用することもわかりました。会社として注力する場所で挑戦できることに、やりがいも感じます。それに、海外赴任に賛同して付いてきてくれた家族もいるので心強いですよ。