首相失職後、よく耳にする2人の人物にフォーカス
インラック首相の失職により、ますます情勢が混乱するタイ政界。7月の再選挙実施を主張する政府側と、改革が先だと一点張りの反政府デモ隊。双方のさまざまな主張が飛び交うなか、今後の行方を追っていくうえで、たびたび名前を目にするであろう2人の人物を紹介したい。
まず一人目は、次期上院議長として選出されたスラシャイ・リアンブンレートチャイ副議長。もともと弁護士として活躍していた彼が政界とつながりを持つようになったのは2000年。弁護士会の取締役からスタートし、その後06年のクーデター時には07年憲法の起草議会メンバーとして選ばれた。スラシャイ氏は反政府派として知られており、ステープ元副首相と同じく「現在の政治問題の解決法がない場合、憲法7条により国王を元首として首相を任命する」と過去に話している。
しかし、14日の上院の発表では、暫定首相を上院が選出すべきだというステープ氏の要望に対し、「緊急非公式会合を開いたが、特定の個人を満足させることはできない」と要求を退けた。
さて、ことの論点となっている首相職だが、次に紹介したいのが現在、首相代行を務めているニワッタムロン・ブンソンパイサーン商務相兼副首相。彼は、タイIBM社を辞めた後、タクシン家が経営するシナワット・コンピュータ・アンド・コミュニケーションズに入社、さらにシン・コーポレーショングループの取締役副会長を務めるなど、タクシン家とのつながりは深い。彼の息子も現在シン・コーポレーションに勤務しているという。
インラック首相時代は、チャンネル9を運営するタイ政府系メディアMCOT社の顧問、公務員評価・調査委員長、さらに学生へのタブレット支給プロジェクトの遂行などを担った。表立って目立つ政治家とはいえないが、タイ貢献党内での影響力は強く、一部では“タクシンの代理人”とも呼ばれているようだ。
政局が転換期を迎えるなか、この2人がどう立ち回るか、手腕が問われる。