次期法王は誰に?

跡目争い勃発。法王代行就任に待ったをかけたのは、元デモ隊リーダー僧侶

 

タイ仏教界が揺れている。
昨年末、タイ仏教界の最高指導者だったソムデット・プラ・ヤンナサンウォン法王(サンカラート)の葬儀が執り行われた。服喪期間も終わり、注目の的は次の法王選出だが、跡目争いが勃発。候補の脱税疑惑、過去の詐欺容疑などが浮上し、泥沼の様相を呈してきた。
跡目相続は、1962年に制定された僧侶法(1992年改訂版)に則り、法王選定は現高僧の中から選ぶと記されている。今回、候補として挙がったのは8人。なかでも、次期法王の呼び声高いのが、ソムデット・チュアン法王代行(90)だった。ところが、同僧の次期法王就任が濃厚になると、好事魔多し、脱税疑惑や不正に受け取ったとされる高級車の所有といった、法王たる資質のなさを訴える反対派が出現。同僧降ろしは激しさを増し、タンブン(寄進)の額で座席順が決まるなど悪評を買うプラ・タンマカイ寺院との関係性も指摘され、信仰する富裕層から「何らかの富を得ているのでは?」と疑惑は尽きない。ちなみに、同寺院の檀家には国外逃亡中のタクシン元首相や妹のインラック元首相など、どこか利権構造もうかがえる。
〝疑惑のデパート〞ソムデット・チュアン法王代行への風当たりは増すばかり。その急先鋒が、僧侶にして13年〜14年に起きた反政府デモの指導者の一人だったプラ・プッタイッサラ氏。すでに、同代行の法王就任に反対する30万人の署名を集め、プラユット暫定首相に渡したというから同代行へのアレルギー反応は相当なもの。
逆風吹き荒れる中、11日、次期法王を決めるタイ仏教界の最高意思決定機関であるサンガ最高評議会が開かれ、一時は、現法王代行の就任を決めた。しかし、この決定はすでに5日、同代行派により、内々的に決められていたことが発覚し、同評議会の運営そのものが疑問視されている。
本来であれば、同評議会での決定事項は首相に渡され、国王の承認を得るという流れだが、プラユット暫定首相は「意見を統一してから提案してほしい」と解決するまでは受け取らない方針を示した。
次期法王の選出は一筋縄ではいかなそうだ。

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