BOIが新投資奨励策を引っさげ、目指すは中進国の罠からの脱却
さらなる高みへ。産業高度化を果たし、中進国の罠からの脱却を目指すプラユット暫定首相が掲げた“タイランド4・0”。そのためには“外資のチカラ”が必要だ。
タイ投資促進委員会(BOI)のヒランヤー長官は3月23日に開催された日系企業向けセミナーに、自ら登壇し、BOIの新投資奨励策を説明した。先ずは、本誌既報のチョンブリー、ラヨーン、チャチューンサオの東部3県にまたがり、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)をはじめ、医療、航空、ロボットなどハイテク産業の投資促進と陸海空インフラなどを一体的に開発する“東部経済回廊(EEC)構想”への投資恩典。中でも、EVの組み立てや製造、重要部品の輸入に対しては、最長10年間の法人税を免除(原則8年+2年)。PHVは同最長6年間を免除するほか、輸入機械の関税を3年間免除する。さらに、重要部品に対しては、法人税の8年間の免除に加え、製造拠点をEEC内とした場合はさらに5年間、法人税を50%減税とする恩典が受けられるという。
同長官は、2月13日に施行されたBOIの投資奨励法改正により誕生した、特定産業競争力強化法にも触れ、同法の最大のポイントは特定産業に対する最長15年とされる法人税の免除であることを強調。「新法はBOI++と覚えてほしい。改正法をBOI+と2つの法律であることを認識してもらいたい」と違いを説明した。ちなみに、新法の恩典適用は、現状、前述のEEC内で実施され、尚且つタイ政府が求める戦略的プロジェクトに合致した事業のみが分かっている。上手くいけば、新法で定められた補助金まで受けられるというから、EECへの力の入れようが分かる。
一方、改正版(BOI+)では、BOIが定める高度な技術や技術革新を利用する事業、研究開発事業に対して最長13年の法人税が免除される。ほかにも、研究開発及び関連する試験に使用する原材料の輸入税の免除など、新たな恩典が盛り込まれた。ともあれ、矢継ぎ早な投資奨励策と巨大公共事業など、エサはばら撒かれた。後は、どれだけの外資が口を開けるのか注目していきたい。