爆弾テロの全容が解明?

容疑者自供で、首謀者ウイグル人説有望も、警察は赤シャツ絡みを主張

8月中旬にバンコク中心部で発生した連続爆弾テロ事件の全容が明らかになってきた。地元紙タイラットによると、「私が実行犯です」と供述したアーデム・カラダク容疑者について、タイ国家警察庁は26日、容疑者と共に実況見分を実施。改めて、防犯カメラを解析したところ、供述どおり、ルンピニ公園にあるトイレ内で犯行時に着ていた黄色のTシャツから「I LOVE THAILAND」と書かれた灰色のTシャツに着替えていたことが確認された。同容疑者は当初、刑事弁護人に対して、爆発事件とは無関係だと説明していた。ところが、9月下旬になって供述を翻し、自分が実行犯で、現在トルコに潜伏しているとみられるウイグル人アブドゥレフマン容疑者の指示に従い、ラチャプラソン交差点のエラワン廟に爆弾を置いたと自供。弁護人によると、アーデム容疑者はトルコ生まれのウイグル人で、中国の新疆ウイグル自治区からタイに渡ったという。一方、国家警察は28日、首謀者は海外逃亡中のアブドゥレフマンで、アーデム容疑者が実行役、同容疑者に爆弾を手渡し、東部サケーオ県のカンボジア国境で逮捕されたウイグル人のマイライリー容疑者が携帯電話により爆弾を遠隔爆破させたと発表した。アブドゥレフマン容疑者は他の容疑者のビザの世話や潜伏先の提供なども行っていた。ただ、国家警察は、報道される「国外強制退去された中国籍のウイグル族による報復」という見方は示さず、9月末で定年退官したソムヨット警察庁前長官は、「事件の背景には人身売買を生業とする犯罪グループの存在がある」と指摘。そのうえで、新たに指名手配したタイ人のヨンユット容疑者が、過去にタクシン元首相派と反タクシン派の暴動の際に爆発事件を引き起こした人物であることを明らかにすることで、事件にタクシン派が関与している可能性に含みを残した。これに対し、タクシン派のチャトゥポーン氏は2006年以降の自派の名簿にヨンユット容疑者の名前は存在せず、「警察はどうしても事件を赤シャツ(タクシン派)の仕業にしたいらしい」とする談話を発表。タイの名物〝赤シャツVS黄シャツ〞もいいが、市民の願いは、一刻も早い全容解明だろう。

この記事をSNSでシェア!

一番上へ戻る