飲酒運転、速度違反……犯罪の助長になりかねないSNS
サイト運営者は「警察の不当な罰則を受けたくない」と反論
警察による路上検問が行われている場所を、ソーシャルネットワークサービス(SNS)に拡散したとして、チェンマイ警察は17日、同県に住む若者3人を逮捕した。
SNSの利用者増が著しいタイでは、路上検問の場所を知らせるフェイスブックページが急増。飲酒運転や速度違反を助長するため、ソムヨット警察庁長官は「情報を掲載したサイト運営者に対する取り締まりを強化する」と発表したが、同様のフェイスブックページは今でも数多く存在している。
「ラオ・ラック・ダーン・トルアット」(検問所が大好きという意味)というフェイスブックページには、30万人以上が「いいね!」をし、実際に閲覧してみると早いときには数分おき、遅い場合でも数時間おきに検問所の場所が、ときに写真付きでアップされている。サイト内には「交通ルールを遵守することが大切。事故現場や混んでいる道路を避けるため、検問所で嫌な目に遭わないためのページ」という大義名分が説明されている。
地元紙ポスト・トゥデイのインタビューに応えたサイト運営者は、同サイトは過去に検問所で不当に罰則を受けた人たちに支持されており、警察の理不尽な行為に対向するために作ったと主張。犯罪の助長については「元々、犯罪者は検問所の場所を知っているため、サイトがあろうがなかろうが関係ない。サイトはただ必要な情報を伝えているだけで、警察の妨害はしていない」と独自の理論を展開した。
これに対し、警察庁のプラウット広報担当は「運営者の言い分も一理ある。だが、そもそも違反をしなければ、検問所があろうがなかろうが問題はないだろう」とサイトの存在を容認し、是非については明言を避けた。
ちなみに法律では、違反者が同様のサイトを使って検問所を逃れていたことが発覚した場合、情報提供者には罰則が科される。また、コンピューター法によれば誤った場所が掲載されていた場合でも違法となり、5年以下の懲役または10万バーツ以下の罰金になるという。
犯罪を助長する可能性のあるサイトが取り締まられるのは致し方ないが、運営者が主張することもやはり一理ある。SNSの肥大化や規制とともに、一方で警察内部の不正の防止も避けられないだろう。