欧米では“ソーダ”税。健康増進と税収増の両立が狙い?
今年9月にタイで施行される新間接税だが、関連する課税方式の中に、“砂糖税”なるものが加わる可能性があるという。日本人には、なじみのない砂糖税。欧米では“ソーダ税”という名称で導入が進んでいる。
フランスでは、2011年に導入。砂糖入り飲料(1缶)に対し0.01ユーロ(約1円)のソーダ税がかかる。最近では、米国のカリフォルニア州バークレー市(15年)が導入したことを皮切りに、じわりじわりと他の州でも広がりを見せ、欧州各国ではすでに導入している国も多い。課税によって食生活の改善を促し、増加し続ける肥満や糖尿病を防ぐのが狙いだ。
閑話休題。多くの日本人は、タイに住み始めた頃、コーヒーやお茶の甘さに驚いたに違いない。食文化・風習と受け止めて飲み慣れている人もいるだろう。
世界保健機構(WHO)によると、タイ人の砂糖消費量は1日あたりティースプーン20杯。これは、WHOの推奨量の約3倍。さらに、国際糖尿病連合(IDF)の発表(13年)では、タイの糖尿病人口は約490万人と多く、政府としては、国民の健康促進は急務。世界の潮流となりつつある砂糖税の導入は、まさに渡りに船というわけだ。検討が進む砂糖税は、100mlに含まれる砂糖の量を10〜14%未満、同14〜18%未満、同18%以上の3段階に分け、税率を課すという方式。当面は、施行後2年間は準備期間とし、課税はせず、逆に基準以下のノンアルコール飲料には、税控除という恩典を与えるという。財務省物品税局税管理事務所のナッタコーン所長は「導入しても、従前の工場渡し価格の2割とする税金とさほど変わらない」とメーカーへの影響は軽微だと話す。
甘党には申し訳ないが、導入をきっかけに、日本では馴染み深いブラックコーヒーや微糖、無糖といった健康飲料が増えることも考えられる。いち消費者としては、ラインナップが増えることを歓迎したい。