ホント? 4年連続で経済幸福度が最も高いタイ
米ブルームバーグの調査によると、インフレ率と失業率に基づいて算出した悲惨指数(ミザリー・インデックス)が世界で最も低く、かつ経済的な幸福度が最も高い国は4年連続でタイだった。逆に、悲惨指数が最も高かったのはベネズエラだという。
この結果に、プラユット暫定首相はご満悦。国民からは「海外の人から見ればタイは天国ということか」「タイで仕事を見つけるのは容易だから」「我々タイ人は自国を低評価しすぎだ」などさまざまな声が挙がっている。
その一方で、「タイは本当に経済的な幸福度が高いのか」と疑問符を投げかけたのは、タマサート大学経済学部で教鞭を執るイッサクン氏だ。今回の結果に対し、同氏はニュースサイト「ワークポイント」に寄稿。その中で、「タイの失業率は確かに低いが、統計のやり方が他国とは違うので一概に正しいとは言えない」と言及している。
タイは、国家の統計や記録に含まれないケースが多い“インフォーマルセクター”を使っていると指摘した。また、失業者の定義についても触れ、「タイでは生産年齢人口が15歳以上であり、1週間に1時間でも働けば失業者にカウントされない」と統計の手法にも異議を唱えた。加えて、「発展途上のタイにとって、インフレ率が低いことは必ずしもいいことではない」と持論を述べている。
その上で、本来の幸福な労働とは「自分がやりたい職種を選べ、最適な報酬がもらえることだ」と主張。タイは、政府による失業者保護対策が薄い。失業者は生活のため就職先を決めることが急務となり、希望する職種を選ぶ時間がないのが現状だ。
同氏が述べる通り、各々がやりたい仕事を選びたいはずだが、現実はそれほど甘くはない。経済発展によって産業分野は拡大し、職の選択肢も増えただろう。しかし、いざ就職するも「思っていたものと違う」と辞めてしまうケースも多い。著名な通信社が“世界一の幸福”と言ってくれたのだから、素直に喜ぶくらい、いいのではないか。