密かに修正された選挙関連法案、またも延期か
二転三転……四転か? 2018年のタイ最大の政治イベントと言えば、民政復帰に向けた総選挙だろう。昨年10月、プラユット暫定首相が「来年11月に総選挙を実施する」と言明。多くの国民や国際社会も「今年は総選挙年だ」と思っていたはず。
ところが、である。下院選挙法案の施行日が、それまでは「官報サイトに公開されてすぐに施行」と同法案に記されていたが19日、突如、「90日後」に変更されていたというのだ。これでは、憲法で定められている「選挙に必要なすべての法律の施行後150日以内に総選挙をする」とのルールに則ると、下院選挙法のずれ込みによって、総選挙の延期につながる可能性が高いという。
これについて、同法案審議委員会の広報官は「国家平和秩序維持評議会(NCPO)の指示ではない。政党登録の期間が延びたことを受けて変更した」と話す。
政党登録とは、2018年1月5日までに、所属党員の人数や資格要件などの提出を義務付けた関連法に沿ったスケジュールだが、昨年12月に同暫定首相が超法規的権限である44条を行使。これにより、政党登録の手続き開始が新政党3月1日、既存政党4月1日と延期されたのだ。しかも選挙関連法は、良くも悪くも投票時間の拡大や調査機関の行動規制の緩和など、細かな点でも多々変更されているという。こうした点についても、広報官は「準備期間はもっと欲しいくらいだ」とさらなる関連法の施行延期を示唆するとともに、「総選挙の延期もあり得る」とまで言ってのける始末。選挙の実施を言明した首相本人は、記者団に対し「主導していない」とひと言残し、足早に去った。
これでは、今年の総選挙の実施も危ういとの見方が強まるのも無理はない。ある報道では「暫定政府の選挙予定の約束」と題して、これまで現政権が示してきた過去3度の総選挙延期を掲載。“二度あることは三度ある”と言わんばかりに揶揄する。タイ民政移管の道筋は遠のくばかりだ。