内需拡大の起爆剤で、公共工事バブル到来なるか?
夢は潰えなかった。インラック前政権が国家予算にも匹敵する2.2兆バーツの大型公共事業を打ち出したことは記憶に新しい。そして、昨年、憲法裁判所が一度は国会で承認された同事業の予算借り入れ法案を違憲と判断し、覆したことも周知の事実だろう。
ところがである。現在、タイの政(まつりごと)を担う国家平和秩序維持評議会(NCPO)は、景気浮揚策として2.4兆バーツにおよぶ超大型公共事業を実施すると発表したのだ。
インラック政権が果たせず、支払い遅延で国内農家がデモまで起こした「コメ買取制度」の未払いの解消や、棚上げされていた総額3500億バーツの治水整備計画の再始動など、トップダウン型政策を進めるNCPOだけに、現実味がある。
主な計画は5つ。
①鉄道事業(総額:以下同約3000億バーツ)主に単線が多いタイの鉄道線路の複線化
②バンコクと隣県を結ぶ公共交通事業(同1兆1964億バーツ)スワンナプーム空港周辺の道路建設や、バンコク首都圏の鉄道新路線整備
③道路交通網整備(同6238億バーツ)幹線道路建設や、道路の4車線化、高速道路整備
④水路再整備(同971億バーツ)都心運河のしゅんせつや埠頭の再整備
⑤空港再整備計画(同1369億バーツ)スワンナプーム、ドンムアン両空港の拡張整備、タイ航空の機材購入など
大盤振る舞いの計画は、1期目(2015〜)、2期目(16〜)、3期目(18〜22年)の3期に分けて進める。残念ながら、日本企業の合従連衡が狙っていた前政権時代の目玉計画「高速鉄道建設」は除外されてしまったが、国内インフラ系企業にとっては、一度は夢潰えた大型公共事業の復活だ。
問題は、これだけの巨額プロジェクトにかかる資金の捻出だ。当然、憲法裁が違憲と判断した借金(借り入れ)では賄えない。年度予算いわゆる一般会計から支出するのだろうか。NCPOの手腕が問われる。